ライフスタイル

私のいえは、東京 山のうえ Vol.25

社本真里の隔週日記: 会社員になる

2023年1月31日

photo & text: Mari Shamoto
edit: Masaru Tatsuki

 冬の朝、キッチンの窓から見える景色は最高だ。山並みにオレンジ色の海が広がっていて、会社に持っていく水筒の準備をしながら眺めている。

 この水筒を持って朝7:30頃には小屋を出る。正直、村内の会社に就職するとは思ってもみなかった。当時檜原の土地に根ざした仕事がしたかったけど、村には仕事の選択肢がとても少なく、村内の会社に勤めることは全く想像ができなかった。若さという勢いもあって、仕事をつくることが必要なんだと数年フリーランスで活動をしていた中で、“会社員になる”ということは私にはとてもハードルが高いことだった。

キッチンの窓からの景色。冬の朝、天気の良い日はよりオレンジが強く感じる。

 林業の仕事も中途半端に関わるのでは意味がないし、じゃあ今までの仕事をどこまでセーブ・選択していくのか、とか。仕事と遊びの境が曖昧で、自由だった暮らしはどんなバランスになってしまうのかとか、いろんなことが不安だったので、私は1年くらい断り続けた。

 現在、会社員になって1年半程が経つ。小屋から職場までは車で15分。小屋で仕事をする日もあるし、都心部まで一日打ち合わせに出ることもある。お昼は小屋に帰って食べることもあるし、仕事を早く切り上げて、この記事を書いている日もある。

昼休み、小屋に帰ってきて簡単にパスタを作った。

プロフィール

社本真里

しゃもと・まり | 1990年代生まれ、愛知県出身。土木業を営む両親・祖父母のもとに生まれる。名古屋芸術大学卒業後、都内の木造の注文住宅を中心とした設計事務所に勤め、たまたま檜原村の案件担当になったことがきっかけで、翌年に移住。2018年に、山の上に小さな木の家を建てて住んでいる。現在は村内の林業会社に勤め、山の素材の販売や街と森をつなぐきっかけづくりに奮闘している。