夏になるといろんな虫たちが元気に活動し始める。小屋が、4年目を迎えようとしているこの夏、初めて部屋に大きなクモが出た。山の虫はサイズ感が大きくて、このクモも足がとても長く、全長で6.7センチくらいある。檜原村に来て近所の方からクモは家を守るよ、と教えられてから仲間のように感じられるようになった。

ようこそ! という気持ちで、しばらく一緒に暮らしてくれるのかなーと思いきや、2~3日で姿を見せなくなった。毎年6月頃になると、突然シャワールームの上にアリが列をなす。トイレに入りながら(トイレとシャワールームで1室になっている)アリの動向を伺うことが日課になるのだが、こちらも、時期過ぎると居なくなってしまう。
最近、夜になると、懐中電灯の灯りと子供たちの甲高い声が聞こえてくる。話を聞くと、みんなで毎晩待ち合わせをしてクワガタを探しに出かけているらしい。昨日はバナナ&ウイスキートラップ(ウイスキーはジローさんにもらったらしい)を仕掛けたと張り切っていたが、今年はまだ捕まっていないそうだ。
私は、虫が大の大の苦手だったけど、どうしてか気がついたら平気になっていた。憶測だけれど、これまでは環境の不一致が虫の存在を気持ち悪くさせていたのではないかと考えている。この山の中では虫がいることが当たり前で、とても自然なことなので、虫の存在を私も当たり前に受け入れられるようになったのではないかなーと思う。
プロフィール
社本真里
しゃもと・まり | 1990年代生まれ、愛知県出身。土木業を営む両親・祖父母のもとに生まれる。名古屋芸術大学卒業後、都内の木造の注文住宅を中心とした設計事務所に勤め、たまたま檜原村の案件担当になったことがきっかけで、翌年に移住。2018年に、山の上に小さな木の家を建てて住んでいる。現在は村内の林業会社に勤め、山の素材の販売や街と森をつなぐきっかけづくりに奮闘している。