私のいえは、東京 山のうえ Vol.7
社本真里の隔週日記: 菜の花と山菜
2022.04.23(Sat)
photo & text: Mari Shamoto
edit: Masaru Tatsuki

4月上旬。檜原にもやっと桜が咲き始めた。
たくさんの植物が芽吹くこの時期になると、とにかく食卓に緑色のものが多くなる。
3日に1回くらいのペースで小屋の外階段に菜の花や山菜のおすそ分けが届くからだ。

ジローさんはひとり分と言ってくれるのだけど、基本多い。いつもどうやって食べようか悩んでいる。(多分ご近所さんみんな悩んでいる)けれど最近、油と水でサッと蒸し煮をする調理法を見つけ、いくらでも食べられるのではないかと錯覚するくらい美味しいので、みんなにおすすめして回っている。今年は白菜と小松菜の菜の花が届くのだが、野菜ごとに菜の花があることも知らなかった。

春は緑色、冬は白色(大根・カブ・白菜)が多くなる。
机は年期の入った掘りこたつ。
山菜は、タラの芽、山ウド、ワラビ、コゴミなどがとれる。毎年同じ場所に出てくるので、みんなとれる場所を知っているけれど、決して教えてはくれない。暗黙の了解で各自、自分の見つけた山菜を来年のことも考えつつ収穫しているように思う。山で共に生きていくことの微妙な距離感が面白いなあと感じている。

このあたりの地形にしてはかなり平坦な土地だがもちろん斜め。
水がよくきれるので、昔から穀物やじゃかいもがよく育つ。
社本真里
しゃもと・まり | 1990年代生まれ、愛知県出身。土木業を営む両親・祖父母のもとに生まれる。名古屋芸術大学卒業後、都内の木造の注文住宅を中心とした設計事務所に勤め、たまたま檜原村の案件担当になったことがきっかけで、翌年に移住。2018年に、山の上に小さな木の家を建てて住んでいる。現在は村内の林業会社に勤め、山の素材の販売や街と森をつなぐきっかけづくりに奮闘している。