ライフスタイル

私のいえは、東京 山のうえ Vol.5

社本真里の隔週日記: 小さな池

2022年3月26日

photo & text: Mari Shamoto
edit: Masaru Tatsuki

 この日もジローさん、ヨシコさんの家で夕飯を食べていた。
「ジローさん、春が来てるよね?」と話すと、ジローさんはうなづきながら、「そろそろ水がなくなるね」と言った。

 このところ、しばらく雨が降っていない。今年は雪も降っていない。最近集落にある、小さな池の水が少なくなってきていた。山に水が豊富にあるときは、その池につながるホースから水が出るので、それが生活水の貯蓄量のバロメーターみたいな役割をしているのだ。

池の近くのミツマタの木。

 集落の生活水は、沢からひいているので、雨が降らない日が続いたり、木が芽吹く5月の始まりになると水が出なくなることがよくある。ジローさんが言っていたとおり、その後に水が出ない日が続いた。けれどまた数日後に雪が降ったので、水が出るようになった。

雪の降った朝。キッチンの窓から外を覗くと30センチ程積もっていた。
小屋のベランダから。雪に太陽の光が反射してとても眩しい。

プロフィール

社本真里

しゃもと・まり |  1990年代生まれ、愛知県出身。土木業を営む両親・祖父母のもとに生まれる。名古屋芸術大学卒業後、都内の木造の注文住宅を中心とした設計事務所に勤め、たまたま檜原村の案件担当になったことがきっかけで、翌年に移住。2018年に、山の上に小さな木の家を建てて住んでいる。現在は村内の林業会社に勤め、山の素材の販売や街と森をつなぐきっかけづくりに奮闘している。