ライフスタイル
私のいえは、東京 山のうえ Vol.1
社本真里の隔週日記: ジローさんとヨシコさんとの出会い
2022年1月15日
photo & text: Mari Shamoto
edit: Masaru Tatsuki
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今から3年前、小屋をたてた。 高床式で2階に室内7.5畳、その中にミニキッチンと、トイレ、シャワールームがある。1階には車をとめている。小屋があるのは、東京都檜原村、御前山の南斜面にある山間集落。15世帯、30人ほどが暮らしている。標高は650m程あって、小屋からは2つの尾根が見渡せる。雨が降った次の日の朝には雲が自分より下にみえることもある。私がこの集落に越してきたのは5年半前のこと、小屋を建てる前までの2年間は、ジローさんヨシコさんという50年ほど前に檜原へ越してきた夫婦の家にお世話になるところから、私の集落での暮らしは始まっている。
ジローさんとヨシコさんとの出会いは21歳の時。当時は大学生で、インターンに行った設計事務所の仕事で連れてきてもらった。愛知県の平野育ちの私には、山間部の地形も、気候も全く馴染みがなかった。すぐに車酔いもしたし、9月の中頃夕方になると一気に寒くなって焚き火から離れられなかった。大学を卒業して、その事務所に就職がきまり、たまたま檜原村の設計案件の担当になった。事務所の代表からは、ただ設計業務を行うだけでなく、地域活動にも進んで参加するように言われ、畑を耕したり、地域のお祭りの演者として参加するようになった。
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大学では、空間デザインコースに在籍していた。明確な将来像があっての選択ではなくて、その領域を選ぶ時に相談した先生(私の大学時代の恩師にあたる人)から、「始まりなんて何でもいいじゃないか」と言われ、最初はなんて適当な人なんだと思ったけれど、不思議とその言葉が忘れられなった。結果その先生から教えを受けることに決めた。
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けれどその言葉通り、空間デザインという枠組みからは外れて、地域デザインを考えるプロジェクトに大学の2年間を費やした。地域の文化や暮らしからたくさんの資源やヒントを得て、0から何かを生み出すというプロセスを踏んだことが、集落での暮らしに興味を持つきっかけになったと思う。
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