LIFESTYLE

私のいえは、東京 山のうえ Vol.12

社本真里の隔週日記: 梅雨はどこだ

2022.07.11(Mon)

photo & text: Mari Shamoto
edit: Masaru Tatsuki

 私の小屋のある集落は標高が650mあるので、梅雨のこの時期、雨が続くとすっぽりと雲の中に入ってしまう。(10m先がみえないような、霧の中)雨が上がった時には、雲が自分より下に見えることもある。なので、東京のマチュピチュなんてことを言う人もいる。

雨が上がると、尾根と尾根の間の谷に、雲海が広がる。

 ただここのところ、雨が降らない。6月でこんなに暑い日が続くのは初めてかもしれない、と地元の人も言っている。森林に囲まれた檜原村では、夏でも比較的涼しく過ごしやすいというのが通年だけれど、今年は変な暑さだ。地面はカラカラで、歩けば砂ホコリが立つ。植物のたちも「?」な様子で、梅の木は小さい実のまま(急に熟して)ポタポタと地面に落ち始めている。

ホタポタ落ちてしまった梅。熟した梅は、ジャムにすると美味しい。山の猿たちも食べに集まってくる。

 山の中で暮らしていると、季節のおとずれに敏感になる。動物や鳥や虫の声、風の匂いや、木々の彩りが季節を知らせてくれるので、春夏秋冬だけではなく何十種類にも季節が細かく分かれているようにも感じる。

 ジローさんと、新緑の季節の頃、緑が綺麗になって来たねーなんて話をしていた時、山の緑の中に一瞬シルバー(新芽の産毛の色が遠くからだとシルバーに見えるそう)が混ざるタイミングがあると教えてくれたことを思い出した。

一昨年の梅雨時期の写真。友人たちが雲の中で、ベランダに机と椅子を出して、コーヒーを飲んでいる。

今年は梅雨がどこかへ行ってしまったようで、寂しく感じている。

プロフィール

社本真里

しゃもと・まり |  1990年代生まれ、愛知県出身。土木業を営む両親・祖父母のもとに生まれる。名古屋芸術大学卒業後、都内の木造の注文住宅を中心とした設計事務所に勤め、たまたま檜原村の案件担当になったことがきっかけで、翌年に移住。2018年に、山の上に小さな木の家を建てて住んでいる。現在は村内の林業会社に勤め、山の素材の販売や街と森をつなぐきっかけづくりに奮闘している。
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