LIFESTYLE
私のいえは、東京 山のうえ Vol.15
社本真里の隔週日記: 月がきれいよ
2022.08.22(Mon)
photo & text: Mari Shamoto
edit: Masaru Tatsuki
つい先日、近所の皆で食事をしていた晩のこと、玄関がガラッとあいて、「月がきれいよ、みんな外に出なさい~!」とヨシコさんからのお誘いがあった。酔っ払った大人たちも、ゲームに夢中だった子供たちも「はーい!」と外に出て、みんなで月を見た。前夜が満月だったので、月は大きく明かりが強かった。


ちょうど台風が去った後で雲の流れも早く、月と雲の重なり合いが常に変化してとても綺麗だった。雨上がりの匂いと、遠くのほうではまだ雷が光っていて幻想的でもあった。
集落に住んでから何度か、夜中に月の光がまぶしくて目が覚めたことがある。寝返りをした時に、低い位置まで沈んできた月明かりにまぶしさを感じたのだと思う。山の中では月がとても明るく感じる。
月にまつわる昔の話も思い出した。舗装された道も街灯もなかった頃、真っ暗の中でも家までみんな歩いて帰ったそうで。山の中は灯りを持たなくても、空を見れば道のあるところには木々が生い茂ってないので、月に照らされた空が続くほうへ歩けば、それが道なんだと言っていた。
プロフィール
社本真里
しゃもと・まり | 1990年代生まれ、愛知県出身。土木業を営む両親・祖父母のもとに生まれる。名古屋芸術大学卒業後、都内の木造の注文住宅を中心とした設計事務所に勤め、たまたま檜原村の案件担当になったことがきっかけで、翌年に移住。2018年に、山の上に小さな木の家を建てて住んでいる。現在は村内の林業会社に勤め、山の素材の販売や街と森をつなぐきっかけづくりに奮闘している。