TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#1】マクドナルドは味がしない

執筆:宇津木陽多

2026年8月12日

「マックで一番好きなのは何?」

誰でも一度くらいはしたことのある会話だと思う。でも、僕は昔からこの質問にうまく答えられなかった。

というより、僕にとってマクドナルドは「味がしない」飯だった。

もちろん、本当に味がしないわけじゃない。美味しくないわけでもない。ただ、「何を食べたいか」を考える場所ではなかった。僕の中では、だいたいこうだった。

腹が減った。このままマックのドライブスルーに行こう。甲州街道沿いに停めやすいコンビニがある。おにぎりでも食おう。さ、今日の予定を再開しよう。そのくらいだった。

そして考えてみれば、これはマクドナルドに限った話ではなかった。

まず空腹という問題があって、それを解決するために食事をする。マクドナルドだけではなく、僕は食事という行為そのものを、そんなふうに無機質に扱っていたのだと最近気づいた。そもそも味わうために食べていなかったのだから、「何が好き?」と聞かれても答えられないのは当然だった。

プロフィール

宇津木陽多

うつぎ・ようた|東京都生まれ。文化服装学院出身。在学時に第92回「装苑賞」で佳作1位を受賞。その後渡英し、ロンドン芸術大学(UAL)でアートとデザインを学ぶ。帰国後は自身のブランド準備を進め、株式会社ウツギヤでメンズライン「UTGY」を2024年よりスタート。母は「フラボア(FRABOIS)」「メルシーボークー(mercibeaucoup,)」を手掛けてきたデザイナーの宇津木えり。

https://www.instagram.com/utgyofficial/