TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
【#3】マクドナルドは味がしない
執筆:宇津木陽多
2026年8月26日
家のこともあって、服については昔から身近だった。
祖母は洋裁教室をし、母親は東京コレクションを発表していた。僕の人生にとって、服とファッションは物心がつく前からずっと身近にあるものだった。
「今日は何を着ようかな」と考えることには、自然と時間をつかってきた。
食事については、空腹を満たすことしか考えていなかったのに、服については着ることの中にある気持ちまで気にしていた。
例えば「着心地が良い」というのは、本当に素材やカッティングだけの話なのだろうか。
いや違う。
着心地という言葉には、その人の心情も含まれている。
どれだけ良い素材を使っていても、誰かにとっては着心地が悪いかもしれない。反対にボロボロになった服の方が、ラグジュアリーブランドの服より着心地が良いことだってあるだろう。それも着心地のうちに入ると僕は確信している。
僕がマクドナルドで一番好きなのは、ベーコンレタスバーガーだ。そういえば、あの質問にも今ならちゃんと答えられる。プラスチックに包まれたあのハンバーガーは、ただのハンバーガーより、レタスと薄いベーコン一枚ぶんだけ美味しい。
でも美味しさとは、ただ「味」の話なのだろうか。
ご飯が美味しいとは、どういうことなのだろうか。
プロフィール
宇津木陽多
うつぎ・ようた|東京都生まれ。文化服装学院出身。在学時に第92回「装苑賞」で佳作1位を受賞。その後渡英し、ロンドン芸術大学(UAL)でアートとデザインを学ぶ。帰国後は自身のブランド準備を進め、株式会社ウツギヤでメンズライン「UTGY」を2024年よりスタート。母は「フラボア(FRABOIS)」「メルシーボークー(mercibeaucoup,)」を手掛けてきたデザイナーの宇津木えり。