原作は古代ギリシャの吟遊詩人ホメロスの同名叙事詩だ。「トロイの木馬」作戦によってトロイア戦争に勝利したオデュッセウスたちが、妻と息子が待つ故郷イタケへの帰還を目指す10年に及ぶ果てしない旅路を、監督のノーランは見事に自分色に染め替えている。実際、これまでのノーラン作品との共通点はすこぶる多い。ネタバレになるので詳述は控えるが、「帰還」というテーマは『インターステラー』を想起させ、その過程で『メメント』のようにオデュッセウスの「記憶喪失」が問題となる。彼と妻を結びつける『インセプション』のコマのような「小物」の登場も見逃せない。「トロイの木馬」の内部で男たちが窮屈そうに過ごす描写はほとんど『ダンケルク』の水没する船のようだし、そもそも一人の男のしでかしたことが世界をそれ以前と以後に分断してしまうという物語は『オッペンハイマー』だ。その意味で本作は、ノーランの現時点での集大成と言えるかもしれない。9月11日より公開。
『パンク・ガーデニング宣言 エコロジカルで型破りな庭園論』を読む。
フランスの造園家エリック・ルノワールが提唱する「パンク・ガーデニング」は、人間本位で植物にとっては地獄でしかない「美しい庭」という考え方にまず反旗を翻す。そして、完璧な管理をあえて手放し、植物本来の...
『はいつくばって』を読む。
ミランダ・ジュライによる2冊目の長編小説だ。主人公はジュライ自身を彷彿とさせる45歳の女性アーティスト。とある小旅行をきっかけに、中年期特有の人生の悩みに振り回される彼女の姿が、夢みがちであるが故の...
『ルックバック』を観る。
藤本タツキによる同名漫画を実写化したのは、『箱の中の羊』の記憶も新しい是枝監督だ。二人の少女、藤野と京本がコンビを組んで漫画家を目指すその原作の物語を、是枝監督はかなり忠実に実写へと昇華させている。...
『オデュッセイア』を観る。
原作は古代ギリシャの吟遊詩人ホメロスの同名叙事詩だ。「トロイの木馬」作戦によってトロイア戦争に勝利したオデュッセウスたちが、妻と息子が待つ故郷イタケへの帰還を目指す10年に及ぶ果てしない旅路を、監督...
『ワンオペレーション』を観る。
中年女性のリンダには、原因不明の病を抱える一人娘がいる。しかし、長期出張中の夫を頼ることはできない。どころか、たまに電話がかかってきたかと思えば、彼女の不手際を難じるばかりだ。そんな八方塞がり状態に...