ライフスタイル

ニュースの摂取法を考える。/小野寺伝助

2026年9月15日

WHOLE CITY BOY CATALOG


photo: Koh Akazawa
illustration: Dean Aizawa
text: Ryoma Uchida
2026年7月 951号初出

 健康な暮らしを送るためには、ジャンクフードだけを食べてちゃいけないように、様々なものの栄養の偏りに注意深くいなければならない。日々の生活と切り離せない「ニュース」の摂取の仕方も同じ。スマホ画面の中では楽しいことだけじゃなく、恐ろしい見出し、フェイクニュース、陰謀論、数々の炎上も氾濫する。情報過多の現代には、幅広く信頼できる情報源、栄養素があることが大事なはずだ。さんに「ニュースの摂取法」のコツを伺った。

ニュースを知り、パンクに生きる。

『政治的に無価値なキミたちへ』(イースト・プレス/大田比路編)人権、教育、労働など根源的テーマを図版を用いてわかりやすく解説。

 ニュースはときに、世界の〝クソ〟な部分を可視化する。『クソみたいな世界で抗うためのパンク的読書』の著者、小野寺伝助さんは、「パンクマインド」と「ニュース」の意外な共通点について語ってくれた。

「辛いことや世の問題を報じるニュースに触れるって、しんどい気持ちになることもあると思います。無理する必要はないと思いますが、かといって自分の好きなこと、興味があることだけに触れて生きるのは、まるでテーマパークのお客さんとして一生を終えるようなものです。誰かが用意し、設定したルールの中で生きて、自分のいる環境に無関心だと、知らない間に入場料が値上げされたり、いつの間にか好きなアトラクションがなくなっていたりする。まずは世界を知る。そのためのきっかけとして、ニュースに触れるのは大事だと思うんです。そして自分の主体性を取り戻す。観客も演者も一体となって“場を創る”のがパンクの精神ですからね」

 小野寺さんは「ニュースの摂取法」として「発信側が〝冷静〟でいるかどうか」を大事にしている。

「SNSのおかげで、いまや誰もが情報の発信者。だからこそ、〝編集〟が入っているもの、公共性があるものを信頼しています。ニュースは新聞、ラジオが中心です。特に『朝日新聞』アプリ版は有識者たちが記事について独自の見解や補足情報を付け足す『コメントプラス』の機能が面白いと思って使っています。荻上チキさんの明晰で落ち着いたトーンのラジオ番組も魅力的ですね。早稲田大学の政治入門講義を書籍化した『政治的に無価値なキミたちへ』は、そんなニュースの摂取に伴走してくれるはずです」

プロフィール

ニュースの摂取法を考える。/小野寺伝助

小野寺伝助

おのでら・でんすけ|1985年、北海道生まれ。会社員の傍ら、パンク・ハードコアバンドで活動し、インディー出版レーベル「地下BOOKS」を立ち上げ。執筆活動を行う。