ライフスタイル

ニュースの摂取法を考える。/岡橋 惇

2026年9月4日

WHOLE CITY BOY CATALOG


photo: Koh Akazawa
illustration: Dean Aizawa
text: Ryoma Uchida
2026年7月 951号初出

 健康な暮らしを送るためには、ジャンクフードだけを食べてちゃいけないように、様々なものの栄養の偏りに注意深くいなければならない。日々の生活と切り離せない「ニュース」の摂取の仕方も同じ。スマホ画面の中では楽しいことだけじゃなく、恐ろしい見出し、フェイクニュース、陰謀論、数々の炎上も氾濫する。情報過多の現代には、幅広く信頼できる情報源、栄養素があることが大事なはずだ。「心と頭の栄養となるようなインサイトを」。そんな言葉が掲げられているメディアがある。「Lobsterr」は、世界中の情報を集めキュレーションし、週に一度のニュースレターとポッドキャストで届けるスローメディア。宇宙の話から一冊の本についてまで、多岐にわたる話題と、深く考察する内容が人気だ。そんな同媒体の発起人の一人、岡橋惇さんに「ニュースの摂取法」のコツを伺った。

「長尺」で考える力を。

「『Lobsterr』をはじめたきっかけでもあるのですが『ニュースレター』が好きなんです。欧米では、オピニオンリーダーのような方々が、自分の考えをメールなどの媒体を通して定期的に発信することがよくある。メールボックスに直接届くから、SNSと違って〝届けている〟実感があるんですね。いろんな人をフォローしてみると面白いですよ。これは〝摂取法〟のヒントかもしれませんが、やはり、多様な人の価値観に触れることが大事だと思います。加えて『切り抜き』で触れるだけじゃなくてロングフォームなコンテンツを読んだり聞いたりすることで、自分の頭で考えることができるようになると思います」

『NOE–MA』の記事は週1回サイトにて発信。書籍は年1回刊行。ファッション誌的見た目が目を引く『Atmos』は年2回発行。

 先の米大統領選や日本の選挙にもショート系コンテンツが多大な影響を及ぼしたのは記憶に新しい。岡橋さんは〝ロングフォーム〟なおすすめ摂取法を教えてくれた。

「『ニューヨーク・タイムズ』や『ガーディアン』紙など、紙幅のあるものに触れています。それから、多様な意見を知るために、ニュースレターの配信プラットフォーム『サブスタック』で、気になる人やメディアを150件ほど登録しています。すると、自分のメールボックスを開くだけで興味深いトピックを一気にみることができ、チェックしやすい。書籍からも面白い情報を摂取できますよ。メディア・プラットフォーム『The Slowdown』が様々な論客を交えて行ったポッドキャストの内容をを編集した『At a Distance』、気候変動をテーマにした雑誌『Atmos』、同誌編集長による魅力的なエッセイと自然の景色を捉えた写真が融合した一冊『The Overview』、政治、経済、文化に関する重厚な記事が載った哲学誌『NO̅EMA』などスピーディで危うい時代を切り抜けるヒントがありそうです」

教えてくれた人

岡橋 惇

おかはし・あつし|雑誌『MONOCLE』で編集長のアシスタントとしてキャリアをスタート。Lobsterr Publishing共同創業者。「Lobsterr」では雑誌版も刊行を予定中。