ライフスタイル

ニュースの摂取法を考える。/辛酸なめ子

2026年9月18日

WHOLE CITY BOY CATALOG


photo: Koh Akazawa
illustration: Dean Aizawa
text: Ryoma Uchida
2026年7月 951号初出

 健康な暮らしを送るためには、ジャンクフードだけを食べてちゃいけないように、様々なものの栄養の偏りに注意深くいなければならない。日々の生活と切り離せない「ニュース」の摂取の仕方も同じ。スマホ画面の中では楽しいことだけじゃなく、恐ろしい見出し、フェイクニュース、陰謀論、数々の炎上も氾濫する。情報過多の現代には、幅広く信頼できる情報源、栄養素があることが大事なはずだ。漫画家・コラムニストの辛酸なめ子さんに「ニュースの摂取法」のコツを伺った。

アートの世界を経由する。

『美術のトラちゃん』(イースト・プレス/パピヨン本田著)「CINRA」での人気連載。「わからない」アートの世界を紐解くドタバタコメディ。

「じわじわ時事ワード」「アートセレブ入門」などメディアでの連載で、移ろう世相を独自の切り口とクセをもって綴る辛酸なめ子さん。「ニュースでは、動物などの癒やし系、宇宙や王室など壮大系、セレブなどのぶっとび系が好きなんです」と語る。

「普段はウェブサイトを巡回しています。世界情勢を的確に伝えてくれる『CNN』『BBC』。『デイリー・メール』『ピープル』は王室ゴシップが潤沢。『サイエンス』『GIGAZINE』で科学関係の面白ネタを摂取。『ねこちゃんホンポ』の猫ニュースも欠かせません。『Reddit』など海外掲示板で有益情報をチェック。SNSは悪いエネルギーが溜まっているし、楽しい情報を見て心をコントロールするのが大事だと思うんです」

「ニュース」との距離感を考える上で意外な方法を挙げてくれた。

「美術館がおすすめです。今の時代は江戸時代の人が数十年かけて得ていた情報量を1日で得ている、とかいわれますよね。だから一つ一つの体験の大切さが薄れちゃっているかもしれない。外に出て、美術館で実際に〝体験〟する。特に現代アートとして展示されている作品は、社会問題を取り上げていることが多いですよね。観ていると脳の疲労度もあがりますけど(笑)、それほど作品の背景に含まれる意図が多い。作品を通して社会を知ってみる。それくらいの距離感でニュースを感じてみるのがいいかも。漫画『美術のトラちゃん』は、美術の世界の面白さがぐっと身近になる一冊。社会を考える入り口にもどうでしょうか」

プロフィール

ニュースの摂取法を考える。/辛酸なめ子

辛酸なめ子

しんさん・なめこ|漫画家・コラムニスト。1974年、東京都生まれ。著書に『スピリチュアル系のトリセツ』(平凡社)、『世界はハラスメントでできている』(光文社)など多数。