藤本タツキによる同名漫画を実写化したのは、『箱の中の羊』の記憶も新しい是枝監督だ。二人の少女、藤野と京本がコンビを組んで漫画家を目指すその原作の物語を、是枝監督はかなり忠実に実写へと昇華させている。ただし、実写ならではのよさももちろん見逃せない。例えば、小学校の卒業式の日に二人が初対面を果たし、京本に「ファンです」と告白された藤野が帰り道に踊るように走る姿を、いつ終わるとも知れない長回しで捉えたシーンの疾走感は、まさに実写ならではの快楽が詰まっている。そんな本作を通して改めて思い知らされたのは、この物語にとって、漫画制作を通して繋がる藤野と京本の親密な時間だけが大切であるということ。それは、藤野の母(野呂佳代)や彼女の小学校時代の担任(宮藤官九郎)の存在感が、だんだんと後景へと消えていく演出によっても強調される。原作もそうなっているとはいえ、「恋する相手」が物語に介入してこないのも、日本の青春映画としては新鮮だ。9月11日より公開。
『パンク・ガーデニング宣言 エコロジカルで型破りな庭園論』を読む。
フランスの造園家エリック・ルノワールが提唱する「パンク・ガーデニング」は、人間本位で植物にとっては地獄でしかない「美しい庭」という考え方にまず反旗を翻す。そして、完璧な管理をあえて手放し、植物本来の...
『はいつくばって』を読む。
ミランダ・ジュライによる2冊目の長編小説だ。主人公はジュライ自身を彷彿とさせる45歳の女性アーティスト。とある小旅行をきっかけに、中年期特有の人生の悩みに振り回される彼女の姿が、夢みがちであるが故の...
『ルックバック』を観る。
藤本タツキによる同名漫画を実写化したのは、『箱の中の羊』の記憶も新しい是枝監督だ。二人の少女、藤野と京本がコンビを組んで漫画家を目指すその原作の物語を、是枝監督はかなり忠実に実写へと昇華させている。...
『オデュッセイア』を観る。
原作は古代ギリシャの吟遊詩人ホメロスの同名叙事詩だ。「トロイの木馬」作戦によってトロイア戦争に勝利したオデュッセウスたちが、妻と息子が待つ故郷イタケへの帰還を目指す10年に及ぶ果てしない旅路を、監督...
『ワンオペレーション』を観る。
中年女性のリンダには、原因不明の病を抱える一人娘がいる。しかし、長期出張中の夫を頼ることはできない。どころか、たまに電話がかかってきたかと思えば、彼女の不手際を難じるばかりだ。そんな八方塞がり状態に...