カルチャー

机の上のサイエンス。Vol.58

クマサカガイ

2026年4月3日

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机の上のサイエンス。


photo: Akira Yamaguchi
text & edit: Shogo Kawabata 
2026年4月 948号初出

貝殻を着こなす、海のファッショニスタ。

まるで人の手による細工物のようにも見えるクマサカガイ(Xenophora pallidula)の貝殻。人気のある貝で、貝専門店などでも取り扱われており、比較的入手しやすい。

 クマサカガイは、腹足綱クマサカガイ科に属する巻き貝だ。東北地方以南の沿岸からインド太平洋域に分布し、水深50〜300m前後の砂泥底に生息する。その最大の特徴は、自らの殻の周囲に他の貝殻や小石を付着させる、まるで自らをデコレーションするような習性にある。これは、殻の補強や擬態によって捕食者から身を守る役割を果たすと考えられている。

 また、取り付ける貝によって付け方にこだわりがあるのも興味深い。二枚貝は内側を上に、巻き貝は殻頂を外側に向けて固定する傾向があるのだ。こうした配置は、接着の安定性や殻全体のバランス、周囲環境への同化に関係しているともいわれているが、詳しい理由はわかっていない。この特異な習性から、英名では「Carrier shell(運搬貝)」と呼ばれている。