カルチャー

机の上のサイエンス。Vol.21

太陽系のそと

2023年3月3日

text & edit: Shogo Kawabata
photo: Akira Yamaguchi
2023年3月 911号初出

ガラスの中の銀河系

机の上のサイエンス
国立天文台が行った4D2Uプロジェクトによる銀河系の立体データをもとに作られたガラスの中の銀河系。冊子と敷物がセットとなっている。太陽系のそと¥16,500(リビングワールド https://livingworld.stores.jp/

 美しいガラスキューブの中に浮かび上がる銀河系の姿。これは国立天文台が作り上げた銀河系全体の立体データをもとに、ガラスキューブの中に星々の位置をレーザーで打ち込んだ「太陽系のそと」というオブジェだ。人類が宇宙から、自らが生活する地球の姿を初めて目にしたのは1946年。今から70年以上前に、V2ロケットが無人撮影した写真だった。こうした宇宙から俯瞰して地球を見る技術を得るまでは、世界地図を作る際、どうしても地上で計測できない場所を、豊富な経験に基づく想像力で補って描いていた。このガラスキューブに打ち込まれた銀河系の立体データも同じようなもので、現代の観測技術をもってしても銀河系のすべてのデータを得ることはできず、コンピューターによる理論計算と、研究者の想像力によって描き出されたものなのだ。いまだ太陽系はおろか隣の惑星にすらたどり着けていない人類は、いつか銀河のこのような姿を直に目にすることができるのだろうか?