カルチャー

机の上のサイエンス。Vol.8

鳥類剥製

2022年1月22日

text & edit: Shogo Kawabata 
photo: Akira Yamaguchi
2022年2月 898号初出

生きている姿そのままに再現した「本剥製」。

 鳥類の剥製には2つの種類がある。研究のために使われる「仮剥製」と博物館などの展示に使われる「本剥製」だ。「仮剥製」は、スペースの限られた収蔵庫に、効率よく標本を収納するために、コンパクトにまとめた形に仕上げる方法。それに対し、今回紹介する「本剥製」は、生きているときの姿そのままに再現したもの。中央は採卵用の烏骨鶏の標本で、漆黒の羽毛は、光の当たる角度で緑などの輝きを放つ。鶏は非常に標本を作りづらい鳥のひとつで、その原因は頭の上のトサカ。なかなか、変形しない状態で形を残すのが難しく、アメリカなどではフリーズドライにすることもあるが、湿度の高い日本では、それも難しく様々な方法が模索されている。

 今、日本では標本制作の職人が激減してきており、こうした技術の継承者不足が大きな問題となっている。写真の標本は鳥類の剥製制作を行う「浜口標本」によるもの。各地の博物館向けの標本制作を行う他、一般向けの標本販売も行っている。

INFORMATION

奥、左手からホロホロチョウ、採卵用烏骨鶏、セキセイインコの剥製(浜口標本)。手前のメジロとスズメは高槻市立自然博物館(あくあぴあ芥川)所蔵のもの。