カルチャー
机の上のサイエンス。Vol.3
ウォードの箱
2021年8月11日
text & edit: Shogo Kawabata
photo: Akira Yamaguchi
Cooperation: Fumio Fujikawa (Species Nursery)
2021年9月 893号初出
「ウォードの箱」の21世紀型

2段目左からTillandsia hofackeri / Tillandsia cf.carminea / Tillandsia reclinata
1段目左からTillandsia sprengeliana / Tillandsia arequitae (small form)
前列左からTillandsia mima (small clone) / Stigmatodon harrylutheri / Tillandsia marnier-lapostollei
19世紀のプラントハンターたちが、遠征先から植物を枯らさずに持ち帰るために使ったガラス製の箱。開発者の名前をとり「ウォードの箱」と呼ばれたこのケースは、時を経て大きな進化を遂げた。〈システムパルダ〉は、そのウォードの箱の最新形態といえよう。まず、照度が高く、植物がよく育つ波長を含んだLEDライトの進化により、太陽光という呪縛から解放され、空調のきいたリビングなどで植物を栽培できるようになったのは大きい。また、小型ファンが取り付けられ、多くの植物が嫌う密閉環境であるケース内に、風を送り込んでくれる。そして、極めつきは背面から白い霧を発生させるミスト装置で、湿度までも調整することができるのだ。照度や温度、風、湿度を自在にコントロールすることで、例えば、常に湿度の高い雲霧林だったり、日照は強いがとても涼しい高地などの環境も再現できる。そんな現代のウォードの箱を使えば、これまで日本の気候では極めて栽培が難しいとされていた植物たちも、見事に開花させることができるかもしれない。
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