
数式が描き出すアート作品
数式を立体化して表現した「数理模型」。これまで、石膏や木材で作られた模型や、糸を使った「線織面型」と呼ばれる、古くから教育現場で使われてきたタイプのものを紹介してきたが、今回は最新金属技術で加工され、オブジェとして誕生した現代の数理模型。数学の二変数関数が描く美しいフォルムをアート作品として楽しむものだ。数式の軌跡に沿ってカットされたステンレス板を格子状に組み合わせることで、その関数が示す立体像を再現している。

もともとは、板を格子状に組み合わせる数理模型は、クラフト紙などを使って作られていたが、東京の大田区にある大橋製作所が、これを美しい光沢を放つステンレスで作ることで、オブジェとして生まれ変わらせたのだ。写真はz=acos x2+y2という数式を再現した模型。まるで水滴が落ちて水面を広がっていく波紋のように見える、美しい作品だ。
二変数関数の点の集合体は、寸分の狂いもなく線としてカットされ、その艶めかしい光沢に研磨された材の表面を傷つけないよう、職人の手で一つ一つ慎重に組み上げられている。
