立体クリーニングにより甦った
アメイジングなフォルム。


三葉虫というと、扁平なわらじのようなフォルムのイメージが強いが、それはカンブリア紀の初期の三葉虫の話だ。デボン紀の頃には捕食者も増え、身を守るための鋭いトゲをまとうなど、かなりダイナミックな造形美をした種も多い。写真の化石はWalliserops trifurcatus。まず目をひくのは、そのインパクトある三叉の長い角だろう。別名「ロングフォーク」とも呼ばれ、三葉虫の標本の中でも最も人気のあるものの一つだ。この特徴的な角は何に使われていたかは諸説あるが、海底の砂を掘り起こし、その中の有機物を食べるためのものだったという説が有力である。近年は、化石クリーニングの技術進歩がめざましく、まるで生きているかのような状態で、こうした化石を鑑賞することができる。細かなトゲや複眼の一つ一つまでクリーニングできるようになったのは、サンドブラストという手法のおかげ。粉末を吹き付けて、細部まで精密にクリーニングできるようになった。