カルチャー

机の上のサイエンス。Vol.34

深海生物標本

2024年4月3日

机の上のサイエンス。


photo: Akira Yamaguchi
text & edit: Shogo Kawabata
2024年3月 923号初出

色や形が美しく残った、深海生物の樹脂標本。

ヒゲナガチュウコシオリエビやニチリンヒトデ、フエカワムキなどの深海生物の人工樹脂封入標本。色や形など生きているときに近い形で残る、これまで見たこともない美しい標本だ。¥2,200〜(ハンズ名古屋店10F 地球研究室☎052·566·0109)

 まだ見ぬ生物が数多くいる深海。そんな未知の世界には、クラゲのような刺胞動物やナマコのような棘皮動物、タコのような軟体動物など、身体に多量の水分を含む生物も多く、標本が作られる際はホルマリンやアルコールを使った液浸標本となることが大半だった。そんな中、深海生物の学術標本を専門に扱う田崎物産は、独自技術により深海生物を樹脂で閉じ込めた「人工樹脂封入標本」を製作している。こうすることで、標本の形態が崩れることもかなり少なくなり、持ち運びなどの扱いが非常に容易となる。樹脂素材には、透明度が高く、耐久性に優れた不飽和ポリエステルを使用。標本と一緒に封入されるラベルにもポリエステル紙が使われており、劣化の要素が極力排されている。また、深海生物は高水圧、低水温の環境で生息しているので、採集の際、急な減圧と水温の上昇の影響を受け、大きなストレスとなってしまう。そのため、漁を行う船の上で鮮度が高いうちにすぐに薬品処理を行うなど、標本の状態にも強いこだわりが詰まっている。