カルチャー

机の上のサイエンス。Vol.31

銅樹

2024年1月3日

植物のように成長した銅結晶。

銅樹
マツバランのようだったり、菌類のようにも見えたり、さまざまな有機的な形状となった銅樹。小さいが金属なのでしっかり重さがある。ひとつとして同じ形のものがないのも魅力。個人コレクション。

 まるでシダ植物のような形に成長した銅の結晶、「銅樹」。自然界では地中でできるためこのような形には結晶しないが、この銅樹は、工場の排気口などの空間的な自由がある場所でのびのびと成長するため、このような美しい樹状の結晶となるのだ。天然の鉱物でもなく、意図的に作った人工鉱物でもなく、人間の営みの中で生まれた産業鉱物とでも言おうか。以前紹介した、自動車工場の塗料の積層から生まれた「フォーダイト」と同じような産業の副産物的なものだ。工場から出る銅樹は、排気口の数年に一度の清掃や交換などの際にしか出ないため一般に出回る機会は少ないが、鉱物業者が集まるミネラルショーなどで探すと見つかることもある。見つかれば高価なものではないので、ぜひ手にしてみてほしい。また、塩化銅溶液に亜鉛板などを入れると、亜鉛板の縁から銅の結晶が同じように樹状に成長していく様子を観察することができる。理科の実験でやったことがある人も多いはずだ。