1000年以上の時が育んだ輝き。

ローマ帝国の時代に作られたソーダガラス製の壺や水差しなどの日用品が、1000年以上もの長い時間土に埋もれ、ガラス成分と土壌の成分が「銀化現象」という化学反応を起こすことで、虹色に輝くようになったローマングラス。とはいってもガラスが銀になるわけではなく、ガラスの成分である珪酸などが、土壌の鉄、銅、マグネシウムなどと化学反応を起こし、ガラスの表面を膜状に覆ったもの。これが幾重にもかさなると、極薄のガラス膜がミルフィーユ状になり、光が当たるとプリズムのように屈折して、虹色に輝くのだ。イリデッセンスとも呼ばれ、昆虫の玉虫やモルフォ蝶の輝きと同じ原理だ。
この銀化現象は限られた環境下でしか起こらず、とても稀少。宝石と同じような扱いで市場に流通しており、そのままディスプレイされたり、アクセサリーの材料などに使われている。