カルチャー

「フォーマット化」に抵抗し続けて。

Multicultural Music

2026年8月16日

WHOLE CITY BOY CATALOG


photo: Naoto Date
text: Ryoma Uchida
2026年7月 951号初出

 この変化の早い世界で、また淘汰の激しい業界で22年。フランスのレーベル「Nø Førmat!」がサバイブして本気の良作を放ち続けていることは希望というしかない。その名のとおり「文化の画一化=フォーマット化」への強い抵抗を掲げ、世界中の多種多様なバックグラウンドを持つ既存のジャンルに収まらない「クレオール」的音楽を紹介し続けてきた彼らの気骨に敬服だ。西アフリカ伝統音楽もジャズもヒップホップも室内楽も、すべてが混じり合うその音世界は、文化的混交を繰り返す複雑な現代社会へのポジティブなアンサー。ECMみたいに統一感あるジャケットデザインもお洒落で、やっぱりフィジカルで集めたくなる。

Onaida
Natascha Rogers

ネイティブ・アメリカンの血を引く父とオランダ人の母の間に生まれたSSW/ピアニスト/打楽器奏者。アフロ・キューバンリズムを取り入れ、ヨルバ信仰や神話、自然や夢をテーマにした内省的な歌の透明感が素晴らしい。

Ululō
Koki Nakano

福岡出身、現在パリ拠点の作曲家・ピアニストの4作目。繊細でエレガントで前衛的でもあるアンビエント的モダンクラシカル。タイトルはラテン語由来で「遠吠え」「叫び」を意味する。シンガーのジョーディらの歌声も印象的。

Set Luna
Julia Sarr – Patrice Larose

セネガル・ダカール出身の女性シンガーと仏男性アコースティックギタリストの初デュオアルバム。ウォロフ語/仏語による歌唱とフラメンコや室内楽的アプローチは素朴でいてなお美しい。初期「Nø Førmat!」の重要作。

Brasiliano
Lucas Santtana

カエターノ・ヴェローゾらと活動したプロデューサーを父に持つブラジル・トロピカリズモの継承者が、ロマンス諸語(俗ラテン語から派生した言語群)をテーマに複数言語で歌う。ジルベルト・ジルもゲスト参加。

Bondeko
Toto Bona Lokua

マルティニーク、カメルーン、コンゴ出身のマルチ奏者トリオのコラボ作。多声コーラス&多言語歌唱、手拍子・パーカッションとアコースティックギターに電子的アンビエンスが加わるめくるめく音世界。