カルチャー

暑さでシャットダウンしそうな脳を再活性化してくれる3冊。

8月はこんな本を読もうかな。

2026年8月1日

text: Keisuke Kagiwada

『おれの映画人生』
クエンティン・タランティーノ(著)、鈴木恵(訳)

 映画監督としては開店休業中なのに、いろんな意味で話題にはこと欠かないタランティーノが、自身の映画遍歴を綴ったエッセイ集。幼少期に母と彼氏と黒人しかいない映画館で観た『ブラック・ガン』について語られる一説が印象深い。「それ以来おれは、映画を見ることにおいても作ることにおいても、一九七二年の土曜の夜に黒人映画館でジム・ブラウンの最新作を見たときの経験を再現しようとすることに、程度の差こそあれ人生を費やすようになった」。¥4,620/文藝春秋

『映された声 映画にとって「声」とはなにか』
ミシェル・シオン(著)、川竹英克(訳)

『映画にとって音とはなにか』を初めて読んだ日の衝撃は今でも忘れられない。捉えどころがないと思っていた「映画の音」を、ここまで具体的かつ刺激的に分析することが可能なのかと、”耳”からウロコが落ちたものだ。同じ著者によるこちらは、『映画にとって音とはなにか』の続編的な一冊。さまざまな監督の作品を通じて、映画の声の創造性を思考していくのだが、俎上には日本が誇る巨匠・溝口健二まで載せられるのだから、襟を正して読むっきゃない。¥4,180/フィルムアート社

『反ミーム部門は存在しない』
qntm(著)、鳴庭真人(訳)

 日本で流行りのモキュメンタリーホラー小説みたいなタイトルだ……とナメてかかったらケガするレベルの超弩級SFホラー。主人公のマリーは、日常に潜む異常な存在「通称不詳存在(アンノウン)」から世界を守る秘密組織〈機関〉で、反ミームを扱う部門の長を務めている。反ミームが厄介なのは、誰もその存在を覚えていられないこと。ゆえにこんな言葉が呟かれるだろう。「存在を決して悟らせない敵とどうやって戦う?」「戦争中だと自覚すらしないまま、どうやって戦いに勝つの? わたしたちはどうすればいいの?」。この反ミームを現実世界の何のメタファーとして読むかは、あなた次第。¥1,760/早川書房

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