カルチャー

不思議体験! アンビリーバボーな世界へと招待してくれる3作。

10月はこんな映画を観ようかな。

2026年10月2日

『ディスクロージャー・デイ』
スティーブン・スピルバーグ(監)

© Universal Studios. All Rights Reserved.

 謎めいた企業ワーデックス社に勤めていたダニエルは、ある日、同僚から知らされる。長年にわたり、同社がある機密情報を国民に隠してきたことを。その情報とは、地球外生命体に関するものらしい。かくして、反乱分子のメンバーとなった彼は、時同じくして不思議な能力を手にしたお天気キャスターと協力して、その情報の公開(ディスクロージャー)に向けて奔走する。そう、これはスピルバーグ監督による、久しぶりの宇宙人映画。異色なのは、宇宙人の存在が信仰の問題としても捉えられること。しかし、それも含めて、痛快無比な娯楽活劇に仕上がっている。「これぞ映画!」と叫びたくなる、興奮だらけの145分。10月1日より公開。

『Blue Heron/ブルーヘロン』
ソフィー・ロムバリ(監)

© 2025 NINE BEHIND PRODUCTIONS LTD. BODDAH RIOTFILM KFT.

 90年代後半。ハンガリー移民の夫婦とその子供たち(男児3人、女児1人)が、カナダのバンクーバー島に引っ越してくる。美しい光と凝った構図で、一家の穏やかな日常風景が捉えられていく中、やがて焦点化されるのは、理由なき反抗で両親を困らせる無口の長男ジェレミーだ。20年後、映画監督となった末娘のサーシャは、作品を通して両親やジェレミーと過ごした日々の意味を問い直そうと試みる。その渦中で、不思議な時空に巻き込まれていく……。映像による過去の検証という点で、『aftersun/アフターサン』を思い出す人も多いだろう。しかし、あの映画では大人になった娘がかつての懊悩する父に共感しているのに対し、サーシャはジェレミーを今も「わからない人」として抱きしめる。その姿勢には、感動を禁じ得ない。10月23日より公開。

『本当にあった話(の話)』
武井佑吏(監)

©鴻池留衣/文藝春秋 /2026「本当にあった話(の話)」製作委員会

 タイトルからもわかるように、変な映画である。物語の前提となる「配偶者入れ替え連続殺人事件」からして相当に変だ。両親に恋人との結婚を反対された女性が、立派な経歴を持つ男性と結婚して殺害し、彼の人生を恋人に引き継がせて夫婦になる。それだけでは飽き足らず、女性は殺人を繰り返す。物語の中では実在するこの事件が舞台化されることになり、演技経験のない夛田という男が、オーディションで主役の座を掴む。そして、異様なまでに役に没頭する彼もまた、加速度的に変になっていく。「本当(の自分)とは何か?」という実存不安をめぐるドラマなのだろうか。しかし、その手の物語形式を嘲笑うかのようなドス黒さが感じられ、観る者は戸惑い続けるしかない。一番変なのは、いつしかその戸惑いが快楽に変わっていくところかもしれない。10月2日より公開。