CULTURE

エンドロールを眺めるだけの日々はこれで終わりにしよう。

2021.11.04(Thu)

illustration: Masaki Takahashi
text: Keisuke Kagiwada

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 なんとなく、映画はエンドロールが終わるまで観る派だ。エンドロールの途中で席を立つのがデリカシーのない行為に思えてしまうのが理由だったけど、よく考えてみれば、ただ眺めているだけって言われたら、そうだ。なんだか悔しい。よし、せっかく観る派ならばしっかり読み込んでやろうではないか。アメリカ映画のエンドロールでずっと気になっていた「Key Grip」というクレジット。実はこれ照明スタッフのことらしい。また、大作映画になると「2nd unit」なるクレジットが登場するが、これは文字どおり第2班の監督のこと。助監督は監督のアシスタントだけど、セカンドユニット・ディレクターはもっと責任が重く、監督が主役をカバーしていたら、離れたところで準主役をカバーするのが例えばセカンドユニットの役割。つまり監督と一心同体の演出力が求められるってこと。だから、ダリン・プレスコットのように監督デビューする元セカンドユニット・ディレクターがいるのも不思議ではない。エンドロールも含めて1本の映画だってことがますます如実にわかってきたぞ。映画は、エンドロールまで観てやろう!


Alan Smithee

アラン・スミシーって誰? と思うのが当たり前で。実は事情により監督が途中降板したり大人の事情でクレジットを出せなくなった際に使われていたクレジット。使用にはちゃんと全米監督協会による規定があったらしいけど、コメディ映画『アラン・スミシー・フィルム』などを発端としてこのクレジットを揶揄する動きが出てきたために廃止となった。以降は作品別に偽名を使うようになった。


Written by

ハーヴェイ・カイテル、ウィリアム・ハートが主演した映画『スモーク』(1995年)では、原作『オーギー・レンのクリスマス・ストーリー』を執筆した作家のポール・オースターが脚本も担当。過去を遡れば、『三つ数えろ』(監督:ハワード・ホークス、1946年)でウィリアム・フォークナーが、『見知らぬ乗客』(監督:アルフレッド・ヒッチコック、1951年)ではレイモンド・チャンドラーが脚本に参加している。


2nd Unit Director

ハリウッドの大作映画では、アクションシーンの演出を担うスタッフがセカンドユニット・ディレクターを務めることが多いみたい。『ブラックパンサー』『ベイビー・ドライバー』『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』、そして『ジョン・ウィック』シリーズと輝かしい第2班監督キャリアを築いているのがダリン・プレスコットだ。初監督作『Snow Ponies』をジェラルド・バトラー主演で製作中!


Director of Photography

映画の視覚的イメージを左右する撮影監督のクレジットは、監督と脚本の次くらいに気にしたいクレジット。撮影監督エマニュエル・ルベツキは、アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督作『レヴェナント:蘇えりし者』では1日に90分程度の時間しか撮影できない環境下での撮影にこだわったり、テレンス・マリック監督作『ツリー・オブ・ライフ』で美しい逆光の中のカップルを捉えたりと、映像美に徹底的にこだわる一人。


Production Babies

プロダクション・ベイビーズ? 赤ちゃんに映画作りを手伝わせたのか? と思ったら違った。実は当該映画の製作中に、スタッフが生んだ子供たちの名前をクレジットしているのだった。それにしても、上記は『ファインディング・ニモ』のクレジット。生まれた子たちは30人超え。いかに大作かが窺える! それにしてもさすが、子供も大好きピクサー映画。


Panavision

企業ロゴが並ぶといよいよ終盤。注目は「Panavision」。たまに「Ultra Panavision 70」とクレジットされることもある。これはデジタル撮影当たり前の昨今に、「パナビジョン」社が開発した超大判の70㎜フィルム撮影をした可能性があることを示している。最近だと『ダンケルク』『ヘイトフル・エイト』など。70㎜フィルム上映が常時可能な劇場は「国立映画アーカイブ」だけだけど、いつかのために、知っておこう。


For...

エンドロールの最後で、誰かに捧げられている映画も少なくない。それにより映画の理解が深まるケースもある。例えば、メリル・ストリープ主演の『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』は、2012年に亡くなった映画監督・脚本家のノーラ・エフロンに捧げられていた。本作のラストには、ウォーターゲート事件を暴く2人の記者が映るが、ノーラはその一人カール・バーンスタインの元妻。そして、彼女が浮気を繰り返したカールとの日々を暴露した小説『心みだれて』の映画版でノーラに当たる役を演じたのが、メリル・ストリープ。さらに言うと、記者時代のノーラが登場するAmazonオリジナルドラマ『グッド・ガールズ! ~NY女子のキャリア革命~』で、彼女の役を演じたのは、メリルの娘グレース・ガマーだ。

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