CULTURE

VHSでしか観られない映画ベスト10

2021.11.04(Thu)

photo: Kazuharu Igarashi
text: Keisuke Kagiwada

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 遠い昔……といっても1976年、日本ビクター(現JVCケンウッド)は、新商品を発明した。映像専用の記録テープ、VHSだ。これにいち早く目を付けた映画スタジオは、作品を収録したVHSのリリースを開始。その後、ベータという別規格テープとの10年に及ぶ「ビデオ戦争」に勝利を収めたVHSは、「おうちで映画を観る」という、今や当たり前のライフスタイルを定着させたのだった……。

 あれから幾星霜、DVDはおろかVODが主流となった現在、VHSは、〝失われたアーク《聖櫃》〟となりにけり。ところがどっこい、である。2020年、リニューアルした『SHIBUYA TSUTAYA』が、約6000本の映画VHSを揃えたコーナーを新設した。こんな近所にまさかの秘跡! その中から、DVDでもVODでも観ることができないタイトルを掘り当ててきた。いかがわしいパッケージでも、己のセンスを信じてレンタルしてみれば素敵な作品も多いから、四の五の言わずにレッツ・トレジャーハンティン!

SHIBUYA TSUTAYAにはVHSコーナーがあるぞ。


NO. 01
ポパイ
(監督:ロバート・アルトマン/1980年/107分)

なんと我らのシンボル・キャラクター、ポパイが実写化されていた! 演じるのは『ジュマンジ』のロビン・ウィリアムズ(本作で映画デビュー)で、監督は『M★A★S★H マッシュ』のロバート・アルトマンって、最強の布陣ではないか。内容は語るのも野暮なくらいハチャメチャなコメディ。シティボーイはまず観るべし。

NO. 02
書かれた顔
(監督:ダニエル・シュミット/1995年/100分)

坂東玉三郎が「鷺娘」「積恋雪関扉」を演じたかと思えば、昭和を代表する女優の杉村春子のインタビューが入り、かと思えば当時101歳だった現役最高齢の芸者・蔦清小松朝じが三味線を弾く……というフィクションとドキュメンタリーが交錯する不思議な一作。

NO. 03
15歳、無秩序な妖精
(監督:ジャック・ドワイヨン/1988年/93分)

何か扇情的な雰囲気が漂うパッケージだけど、蓋を開ければ、爽やか青春映画。イビサ島でバカンス中の3人の幼い男女が、それぞれに悩みながら「愛とは何か?」に思いを馳せる。コロナでバカンスがオアズケだから、イビサの潮騒を聞いただけでエモい気分になる。

NO. 04
レッツ・ゲット・ロスト
(監督:ブルース・ウェーバー/1988年/119分)

1988年にアムステルダムのホテルの窓から転落死した伝説的ジャズミュージシャン、チェット・ベイカー。彼のデビューから亡くなるまでをドキュメントした本作、監督は写真家ブルース・ウェーバーなので、ベイカーの立ち居振る舞いはもちろん、映像もクール。

NO. 05
美味しんぼ
(監督:森崎東/1996年/105分)

あの同名名作漫画にも実写版はあった! しかも、士郎&雄山親子を演じているのは、実際の親子である佐藤浩市と三國連太郎だ。三國が雄山を演じる上で、漫画ではなく、そのモデルとなった北大路魯山人を参考にしている点も含めて、とびっきり味な人間ドラマ。

NO. 06
ミスター・グッドバーを探して
(監督:リチャード・ブルックス/1977年/135分)

一人の女教師がドラッグ&セックスに溺れて身を滅ぼしていく姿をザラついたタッチで描く。女教師を演じたのは、『アニー・ホール』のダイアン・キートンだ(この2作は同じ年に作られている)。若き日のリチャード・ギアもちょい役で出ていてだいぶ豪華じゃん。

NO. 07
Fカップの憂うつ
(監督:タマラ・ジェンキンス/1998年/91分)

題名でお下品な映画と決めつけるべからず。思春期の少女が主役で、彼女が大きくなった胸に悩んでいる挿話はあるけれど、全く本筋じゃない。描かれるのは、そんな少女がいっぷう変わった大人たちに揉まれて成長していく姿。今だったらA24が手掛けるタイプだ。

NO. 08
コップキラー
(監督:ロベルト・ファエンツァ/1982年/101分)

ドナルド・トランプへの支持を表明してファンから総スカンを食らった、元セックス・ピストルズのジョニー・ロットン。だけど、それで彼が残した作品の偉大さが薄れるわけではない。本作で警官殺しに手を染めるロットンの鋭い眼光は、永遠だ。

NO. 09
ロードレーサーズ
(監督:ロバート・ロドリゲス/1994年/94分)

まさかロバート・ロドリゲス監督作にも未DVD化作品があるとは驚いた。しかも、これがいい具合にボンクラな青春映画なのだ。1950年代のアメリカの田舎町を舞台に、ロッケンロールと車と女が好きな不良青年が喧嘩に明け暮れる作品で、ポテチが進む進む。

NO. 10
サバス
(監督:マルコ・ベロッキオ/1988年/95分)

これまた「パッケージに騙されるな!」案件。まるでホラーみたいだけど、どっちかっていうと幻想映画なんだから。1630年生まれの魔女だと自称する女に翻弄される精神科医の姿が、バロック絵画みたいに強烈なショットの積み重ねによって構築される。お見事。
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