カルチャー

机の上のサイエンス。Vol.55

アルノーの緑

2026年1月3日

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机の上のサイエンス。


photo: Akira Yamaguchi
text & edit: Shogo Kawabata 
2026年1月 945号初出

まるで抽象画のような模様石。

稀少でなかなか入手の難しい石だが、日本では模様石の収集家として知られる装丁家の山田英春氏が鉱物の即売会などで頒布している。

 イタリア・フィレンツェ近郊、アルノー川流域で産出する石灰岩の塊の中から現れる、幾何学的な模様が美しい石「アルノーの緑(Verde d’Arno)」。採掘場所はごく限られ、現在ではその正確なスポットを知るのは、たった一人の地元の老人だけだといわれている。

 深みのあるオリーブグリーンをベースに、黄土色や灰色が直線的かつ複雑に交わるその断面は、抽象画のようで「パウル・クレーの抽象画」にも例えられる。数百万年にわたる地殻変動や鉱物の沈着が偶然に生み出したもの。ひとつとして同じ模様はなく、石をカットする角度によっても様々に表情を変える。まさに自然の力によって描かれた“地球の絵画”と呼ぶにふさわしい存在だ。なぜ、このような非常に特徴的な模様となるのかについては、いまだわからないことが多い。