カルチャー

机の上のサイエンス。Vol.47

玉骨標本

2025年5月3日

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机の上のサイエンス。


photo: Akira Yamaguchi
text & edit: Shogo Kawabata
2025年5月 937号初出

骨格を透かして観察できる美麗標本。

写真は研磨済みの状態のもの。他にもケナガマンモスやカバ、コククジラなど12種のラインナップがある。写真の模型は約10㎝程度だが、約40㎝の大型モデルもある。玉骨標本マッコウクジラ(S)¥7,000(吉本アートファクトリー☎078·855·6548)

 生き物の体の中で、骨格がどのように配置されているのかを詳しく観察できる「玉骨標本」。3Dスキャンされた骨格標本などを特殊なフルカラー3Dプリンターで出力し、さらにその骨格を包む外部形態を透明樹脂で同時出力してある。外部形態の中に骨格をのぞくことができるモデルを観察すると、いろいろなことがわかってくる。例えば、写真のマッコウクジラ。体の約30%を占める大きく角ばった頭には実は骨がまったくない。ここには脳油と呼ばれる油分が詰まっていて、潜水のときにおおいに役立つ。深海に潜る際には、脳油に鼻の穴から海水を取り入れて冷やすことで比重を重くし、脳油が重りとなって深く潜ることができる。そのような構造を直感的に視覚で理解できるのだ。玉骨標本は、3Dプリンター特有の積層の筋が表面についており、すりガラス状で届くが、これを自分で磨いて透明にして仕上げる楽しみもある。