ファッション

Angela Hillのスタイル日記。

2024年2月18日

STYLE SAMPLE '24


text: Minori Kitamura
2024年2月 922号初出

 毎朝、何をどう着るか。その繰り返しにこそ「人」が見えてくる。2人のファッション賢者の16日間の記録に学ぶ、スタイルの作り方。

Angela Hill/Photographer, 『IDEA BOOKS』Co-Founder
アンジェラ・ヒルの場合。

Angela Hill

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自分に似合うシルエットとカラーを知り尽くした、変わらないスタイルの数々は、メゾンブランドを中心に、定番のデニム、キャップ、ネイビーを合わせて完成。

Angela Hill
LAの『Jayde’s Market」のカフェにて。美容院へ行く前に、夫と朝食を食べているところ。〈プラダ〉のサングラス以外はすべて〈セリーヌ〉。カシミヤセーターの淡い黄色は私にとっては珍しい色なの。
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散歩に行こうとしているところ。黒一色は無難で退屈だからあまり好きじゃないけど、ネイビーは愛してる。この日は〈セリーヌ〉のスウェットパンツを合わせたけど、オールネイビーの日もよくあるよ。
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〈テクラ〉のパジャマシャツに〈セリーヌ〉のジーンズ。パジャマパンツをカジュアルウェアとして着ることもある。ルールは破るためにあるの。この上にラガーシャツを合わせてもいいかも。
Angela Hill
『IDEA』からZINEや写真集を販売したこともあるスケーターのブロンディ・マッコイが手掛ける〈テムズ MMXX〉のラグビーシャツを着て一日中オフィスで仕事の日。カーゴパンツは〈セリーヌ〉。
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〈ミュウミュウ〉のミュール以外は、すべて〈プラダ〉。メゾンの路面店が集まるロンドンのウェストエンドにあるボンド・ストリートで私はよく買い物をするんだ。この日もそうで、撮影は試着室にて。
Angela Hill
この〈プラダ〉のシャツとセーターみたいに、私は同系色のレイヤードをすることが多いの。カーゴパンツは〈セリーヌ〉。足元の〈プラダ〉のミュールには、ソックスを合わせるのが好き。

その日の服装を決めるのは、目覚めたときの直感。
ピュアな感性と「着る経験」が作り出すクラシック。

 私の場合、毎日の服装を決めるのは「目覚めたときにどう感じるか」。新しい組み合わせを試すのが楽しみな日もあれば、何度も着たことのある心地いい服を着たい日もある。気分次第なの。でも、スタイルを見つけるために大切なことはあると思う。一番は試着。どんなものも必ず試し、全身鏡で確認して厳しくジャッジすること。フィッティングルームでうまくいかなければ、どれだけ気に入っていても、欲しくても、友達が素敵に着こなしていても、うまくいくはずがないからね。もし、買ったあとで失敗に気付いたら潔く手放すこと。「いつか」を期待して眺めていても仕方がない。

 そうしてトライ&エラーを繰り返すことで自分のスタイルが自然と掴めてくる。だから日々のコーディネートはテクニックとかじゃないの。好きか嫌いか、似合うか似合わないか、ただそれだけ。センスがいい人は、他人を気にせず自分の好きなものを着ることができる人だと思うけど、そもそも自分になにがフィットするかを知ることがとても大切。私の場合、ハイファッションよりもクラシックが好きだとか、フィービーの頃の〈セリーヌ〉より、エディがつくる今のシルエットのほうが合うだとかね。

Angela Hill
今日のテーマは「ブルーキャンペーン」。〈シャネル〉のバッグと〈プラダ〉のサングラスに、他は〈セリーヌ〉。デニムのアイテムは私にとって定番で、デニム・オン・デニムのスタイルも好きでよくする。
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ロンドンのコヴェントガーデンホテルの『ブラッスリー・マックス』で、末娘とアフタヌーンティーを楽しんだ日。〈セリーヌ〉のシャツやスカートに合わせたのは、〈バレンシアガ〉のトレンチコート。
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ハリウッドヒルズへハイキングに行くときの服装。〈シュプリーム〉のフーディー、インディアンパンツと最近新しく買った〈ブルックス〉のウォーキングシューズ。アウトドアブランドの服はあまり買わないんだ。
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〈ミュウミュウ〉のポロシャツ、プリーツスカートに、〈プラダ〉のVネックセーターに〈セリーヌ〉のキャップ。スクールガールのようなルック。この3ブランドのシルエットは私によく合うんだ。

 もうひとつ、色選びは極めて重要。私はあまりたくさんの色は使わない。真っ赤や黄色、ピンクやオレンジは着ないし、完璧に色合わせをしないと似合わない色もある。だけど、珍しい色やアイテムを恐れず試してみることは大事だと思う。実際、私のお気に入りのひとつである〈セリーヌ〉のカーディガンは淡い黄色だし、パープルとダークフォレストグリーンはとても相性がいいことも学んだから。

 ワードローブにはスタンダードなものが多くて、特に欠かせないのはジーンズ。ただシルエットは色々。シーズンごとのハイブランドの打ち出しで気分が変わることもあるからね。逆にアクセサリーには定番がある。スカーフなら〈エルメス〉、ジュエリーなら〈カルティエ〉だし、腕時計は可憐なものが好きじゃないからメンズのもの。それでいうと、セーターもよくメンズを選ぶかな。〈ユニクロ〉のメンズのクルーネックカシミヤセーターは、女性向けの素晴らしいアイテムだと思う。

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この日のパリは寒かったので、しっかり防寒するためにお気に入りの〈ミュウミュウ〉のコートをチョイス。〈セリーヌ〉のシャツにスウェットシャツを着て、友達とのティーミーティングのためにカフェへ。
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 LAで友達に会った日。〈エルメス〉のショーツとジャケットのセットアップは、ワードローブの中でも特にお気に入りのアイテム。Tシャツもソックスもスニーカーも白で爽やかでしょ。
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今日は〈セリーヌ〉の日、最近よくつけている〈プラダ〉のサングラス以外は全部だね。スポーティなラインが入ったブルゾンに開襟シャツを着て、なんだかバスルームの管理人みたいな写真じゃない?
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大学生みたいなスタイル。DAY4で着ている〈テムズ MMXX〉のラガーシャツに、〈プラダ〉のグリーンセーターを合わせた。〈セリーヌ〉のスキニージーンズは、持っている中で一番細いシルエット。
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バギーな〈セリーヌ〉のボーイフレンドジーンズに〈プラダ〉のクリーム色のセーター。デニムパンツは、もう履かないと思ったシルエットでも、コレクションで見かけたらまた履きたくなるもの。
Angela Hill
オフィスに向かう前は、いつもこの鏡でコーディネイトをチェックする。〈zizi Donahue〉が作った、架空のテニスアカデミー“ビバリーヒルズヘルスクラブ“のスウェットシャツに〈セリーヌ〉をミックス。

プロフィール

Angela Hill

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Photographer, 『IDEA BOOKS』Co-Founder

アンジェラ・ヒル|イギリス・ロンドン生まれ。ファッションエディターやスタイリストのアシスタントを経て、フォトグラファーに。ファッションカルチャー雑誌『Purple』『Dazed』などで活動。ロンドンの出版社『IDEA BOOKS』共同創設者でもあり、昨年末に作品集『EDITH』を出版。この写真の日は〈セリーヌ〉のジャケットに、〈ラコステ〉のポロシャツと〈プラダ〉のニットと〈ペルソール〉の眼鏡。

Instagram
https://www.instagram.com/angelahill22/