シティボーイのスタイル白書/ワードローブスナップ
2022.01.20(Thu)
photo: Maya Matsuura
coordination: Chieko Tomita
2022年2月 898号初出
世界中、さまざまな都市で暮らす若きシティボーイたちはいったい、
どんな服を持っていて、日々どんな着こなしをしているのか。
コペンハーゲンに住むフレドリック・オートゥンのライフスタイルを観察し、
彼のワードローブをリポート。

この美しい色のグラデーションのワードローブの持ち主は、コペンハーゲンのライフスタイルブランド〈FRAMA〉の若きスタッフ、フレドリック。エフォートレスな雰囲気がよく似合う29歳の彼に、今のスタイルに落ち着くまでの経緯を聞いた。「小学生の頃は渋谷ストリートスタイルにハマった母の影響で髪をピンクに染めて、ネイルをして、レオパード柄の服を着ていた。その後はサーファー風のロン毛時代、黒い服にモヒカンヘアのパンクバンド時代があって、ノルウェーのセウダという小さな街で育った僕はかなり目立った存在だった」と今の彼からは想像もつかない遍歴に驚いた。7年前にガールフレンドのヨハンナとコペンハーゲンに引っ越して〈FRAMA〉に参加した頃から今のスタイルが始まったそう。「彼女の影響か、年のせいか、服装は少しずつシンプルになった。とはいえ、プレーンで素材の良い服にタトゥーの組み合わせは僕らしいと思っている。ロックな心意気というか、ひねりが効いているものが好きなんだ」と、彼のワードローブは人生そのもののよう。

Coat…Amomento
Sweater…Our Legacy
T-Shirt…Acne Studios
Pants…Amomento
Boots…Jacquemus
ルーズシルエットにブラウン系のアイテムを入れるという方程式から浮気しないのが基本スタイル。愛犬ルーの散歩にはウールセーターをマフラー代わりに肩にかけ、ゆったりしたコートと色味を統一。「週末はコペンハーゲンから北に1時間のリーセライにある別荘地に行くことが多いんだ。ブーツは表面が凸凹のラグソールだから森も歩けるよ」

フレドリックの12のベーシックアイテム。
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1. ガールフレンドと共有の〈Bjørg〉のジュエリー。
「ポップな印象で遊び心があって、普段使いできるのがいい」と身につけているのは、ノルウェー出身のデザイナーが手掛けるアクセサリーブランド〈ビョーグ〉のリングとネックレス。カラフルな天然の宝石や水晶に加工した金属を組み合わせたデザインが特徴的で、すべてハンドメイド。デザイナーとは別荘がご近所で仲良し。 -
2. 〈MUJI〉のソックスはリブを切る。
コペンハーゲンの〈MUJI〉で最近購入したというリブソックス。「締め付けのきつい靴下が苦手だから、はく前にゴム部分をハサミで切って一度洗濯をする。そうすれば肌馴染みが格段に良くなるんだ」とフレドリック流のアレンジが施されている。好みのルーズなシルエットは自分で生み出すことだってできる。 -
3. 〈FRAMA〉の香水「KOMOREBI」。
「日本の庭園をイメージして作られた香水で、僕はこのウッディな香りが好きで朝と夕方につけているよ」とフレドリックが太鼓判を押す新作フレグランス。柚子、金木犀、ヒノキ科のサイプレスなど厳選された素材を用いたジェンダーニュートラルな香りで、日本では昨年12月からオンラインで発売開始したばかり。 -
4. 〈MARGARET HOWELL〉のニットキャップ。
「旅先でセレクトショップや友人に教えてもらったお店で買い物をすることが好き」というフレドリックが10月にフィレンツェを訪ねた際に買ったウール素材のニット帽。新品だけどくたっとしているところや、ポンポンが付いていてチャーミングなところなど、少しだけルールから外れて遊んでいる感じが彼らしい。 -
5. 蚤の市で見つけた農家のブーツ。
スペインにある両親の別荘の近くで開催される蚤の市で偶然出合ったというブーツ。「農家の人が使っていたそうで、家畜の糞がついていて正直汚かったけど、ずっとこんなヘビーブーツが欲しかったから購入した。洗って磨いたらかなりいい感じになって、ノーブランドだけどすごく気に入っているよ。履き心地もバッチリ」 -
6. コートはゆったり、色はブラウン。
〈FRAMA〉は韓国のアーティストとの繋がりもあるので知るようになったという韓国のレディスブランド〈AMOMENTO〉のロング丈のウールコートは今シーズンのメインアウターとして愛用中。「ゆったりとしたサイズと僕のワードローブに合うベーシックカラーがお気に入り。この冬はヘビロテしそう」 -
7. 〈Studio Nicholson〉のジャケット。
イギリスの〈Studio Nicholson〉はフレドリックの好きなブランドのひとつ。4年前に購入したというジャケットは、ドレッシーさとデイリーな要素がミックスされていてオンでもオフでも着用可能。「仕事でも家でも着ているから、ボタン周辺はボロボロになってしまっているけど何度か修理に出して長く着ているんだ」 -
8. 首元には〈Aure Studio〉のスカーフを。
ガールフレンドのヨハンナを含む4人のメンバーで〈Aure Studi
o〉というブランドも手掛けていて、洋服や小物、アートワークや本を販売。このスカーフは、素材の廃棄物削減に取り組むために服を作ったときの残布を利用して作られたもので、「首元のアクセサリー代わりに毎日使っている」。 -
9. 〈ポロ ラルフ ローレン〉の2タックパンツ。
ボトムもやっぱりルーズシルエットが定番。太もも周りにゆとりがあって控えめにテーパードがかかったこの一本は、ジャストサイズは29のところをあえて33を選んでダボッとはく。「カーキカラーのパンツはフィレンツェの古着屋で購入したんだ。サマーハウスでリラックスするときに着たいな」 -
10. 体に馴染んだ普通のシャツ。
茶色のシャツはコペンハーゲンの『ユニクロ』で購入。シンプルでリラックスしたユニクロの服は彼の好みに合っているのかも。コペンハーゲンの店舗は17世紀中頃に建てられた「Louise Hus」(ルイーズの家)の愛称で知られる歴史的な建物にあるんだって。何度も着ていい味が出た白シャツはスウェーデンの〈Dry Costume〉。 -
11. ビッグシルエットのコットンTシャツ。
Tシャツを選ぶ基準はビッグシルエットで素材はコットン。体が服の中でゆったり動くものが好きだから、Mサイズの体型だけど、XLやXXLがお決まり。両親からプレゼントされたという〈Acne Studios〉のTシャツは身幅も袖丈も大きめのリラックスフィットで特にお気に入り。「ビッグサイズで着やすくて、一番好きなんだ」 -
12. 〈MOSCOT〉のサングラス。
「北欧は紫外線が強いから、日照時間が短い冬でも晴れの日はサングラスが必需品」と複数持っている中でも、デザイナーが友人の息子さんという縁で使い始めた〈MOSCOT〉のサングラスはデザインが好きで3つ持ち。「1915年創業の老舗ブランドで、歴史があるところも興味深い」と、服や小物を選ぶ際は背景も重視。

FREDRIK AARTUN
フレドリック・オートゥン|1992年、ノルウェー生まれ。2015年に〈FRAMA〉ディレクターのニルス・S・クリストファーセンに誘われチームに加入。全身にアートのようなタトゥーがあり、趣味は友人に手彫りしてあげること。