ファッション
いつも同じような格好をしている人。
アーロン・ローズの7日間。
2022年1月25日
「服は毎朝のコーヒーと同じくらい、どうってことないもの」と本人は言う。
でも、変わらないでいる、という姿勢にはきっと背景がある。会って、話を聞いてみた。
AARON’S RULE FOR THE STYLE
ハットをかぶる。
開襟シャツを着る。
カーディガンを羽織る。
古着のスラックス。
ローテク、ローカットのスニーカー。
DAY 1

LAの衣料品店『Greenspan’s』のオリジナルハット、〈COS〉のカーディガン、シャツは古着の〈ペンドルトン〉。〈コンバース〉のカラーをカスタムできるオールスターは、履きつぶしては気分で色を変えている。「パンツは忘れた(笑)」
DAY 2

キッチンで今日5杯目のコーヒーを淹れてひと息。Day1と同じカーディガンを2つ持っていてローテーションしている。“Rose”柄のシャツはデザイナーの渡辺真史さんからもらった〈ベドウィン&ザ ハートブレイカーズ〉。古着を仕立て直したパンツに、ギャングスタ御用達の〈Zig-Zag〉の靴。
DAY 3

アートに囲まれたリビングでゆったり寛ぐ。ピンクとブルーのカラーリングがお気に入りだという、メキシコのオアハカで買った民芸品のシャツに、Day1とDay2と同じ型で色違いの〈COS〉のカーディガンを。パンツはリサイクルショップ『Goodwill』にて6ドルで買ったものを仕立てに。
DAY 4

アーロンが「今LAで一番クールだ」という友人のギャラリー『One Trick Pony』で行われていた、Chapman Brothersの兄、Dinos Chapmanの個展を観に来た。ハットはDay1、Day2と色違いの〈Greenspan’s〉。開襟シャツ、パンツはともにヴィンテージ。スニーカーは黒のオールスター。
DAY 5

寝室で、友人のバリー・マッギーに誘われて所属することになった、イタリアンモペットクルー「96 TEARS SC」のカスタムジャケットを見せてくれた。今日は〈Baron Hats〉で作ったカスタムハットに、〈A.P.C.〉のシャツ、友人のハーモニー・コリンがコラボした〈VANS〉のオーセンティック。
DAY 6

アーロン自身も在籍する、映画監督ロマン・コッポラの映画製作会社「The Directors Bureau」前にて。入り口の扉のペインティングを制作中で、ずっと昔に買った〈ユニクロ〉のカーディガンに、スリフトショップで手に入れたシャツとスラックスなど、汚れも構わず着られるもので。
DAY 7

この日もDay3とDay4に登場したカーディガンとローカットのオールスターを。サングラスはすぐなくすから、オンラインで29ドルで売っているものをまとめ買いして、家のそこら中に置いてるとか。20年以上乗り続けている1959年製のベンツは最近水色に塗って惚れ直したという。
「スタイルは着るものに影響を与えるけれど、
服が君自身のスタイルを作ることはないよ」

「大体いつも同じような格好をしている人」と考えて、真っ先に浮かんできたのがアーロン・ローズだった。肩書は映画監督、アーティスト、キューレーター、編集者など多々あれど、いつも年季の入ったハットを頭にちょこんとのせ、カーディガン、シャツ、スラックス。’90年代のNYで伝説となった『アレッジド・ギャラリー』を構えていた当時の写真にも、同じいでたちで写る彼を見つけた。少なくとも20年以上変わらないその格好に、いかにたどり着いたのか純粋に知りたくて、彼が住むLAに向かった。
ハリウッドの丘を登っていくと鮮やかな水色が目を引く’59年製のベンツが見えてきて、自宅からアーロンが出迎えてくれた。カルチャーがみっちり詰まったアトリエで、まずはファッションとの出合いについて聞いてみた。
「モッズカルチャーに14歳から傾倒したんだ。おわかりのように今着てるものはモッズにおいて定番のもの。必要な持ち物はすべてポケットに収まるし、整った見た目だから割と場所を選ばないという理由でこの格好に行きついてから、着るものはほぼ変わってないな」
そう話すアーロンのコレクションを見せてもらうと、いわゆる高価なブランドものがない。替えが利く気軽なものしか持たないそうで、カーディガンは〈COS〉の色違いを買って着回せば、スラックスはスリフトで安く見つけて仕立てに出して事は足りるし、ハットも毎日かぶってカビが生えたら買い換える。そんな調子だという。「モッズを通して仕立てのいいカットを知ったから、安くても自分に合うものはわかるし、私にとって服を買うことは毎朝コーヒーを買うことと同じくらいなんでもないこと。見てのとおりアートは集めるけど、服は集めてない。スタイルは君が着るものに影響を与えることはあるけれど、服が君自身のスタイルを作ることはないよ」
まずスタイル。次に服。そんな、シンプルだけど大切なことを教えてくれたアーロンのようになるには、まだまだ時間がかかりそうだ。

Aaron Roseの服装のルールと、日々のこと。
1. カーディガンは〈COS〉を色違いで。
2. ハットはカビが生えるまで。

3. 〈VANS〉か〈コンバース〉かギャングスタ。




4. いろいろな開襟シャツ。
5. パンツは仕立てに出すけれど。



6. いつもそばにある好きなアートや本。









プロフィール
アーロン・ローズ
アーティスト。1969年、オレゴン州ポートランド生まれ。NYで『Alleged Gallery』を運営し(1992〜2002年)、ハーモニー・コリン、バリー・マッギーなど数多くの芸術家を世に送り出し、彼らをドキュメントした映画『Beautiful Losers』を監督。この先数年かけて長編映画を撮る予定。
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