ファッション

服のプロの、1週間の着こなし。/Mac Huelster

in NEW YORK

2023年1月28日

photo: Takeshi Matsumi
text: Shimpei Nakagawa
cooperation: Shintaro Kawabe
2023年2月 910号初出

 テーラー界の名門〈マーティン・グリーンフィールド〉で仕立てたスーツをカラフルなカーディガンでカジュアルダウンさせたスタイルを披露してくれた、スタイリストのマック・ヒュルスター。そんな彼はいつ会っても、細身のパンツをはいている。ルーズなシルエットが市民権を得て久しいけど、どうして? 「単純に自分に合う服を着るということかな。ジャケットやTシャツなんかは少し大きめを着ることもあるけど、長身痩せ型の俺には少し細身のパンツのほうがシルエットが綺麗に見えるんだ」。それは誰かをスタイリングするときも同じことが言えるようで、「もし服がその人の普段のスタイルと違うものだったとしても、その人が実生活で着られるような、つまりその人に合ったリアルなスタイリングを組むように心がけてる。当たり前のことだけど、大事なことだと思う」。

Style 01
スタイリング仕事の前に。

Mac Huelster
Coat – CSiLlag
Sweater – Adsum
T-Shirt – BODE
Pants – used (Levi’s 501)
Shoes – George Cox

この日は〈チラーグ〉にオーダーしたというカスタムメイドのコートを着ていた。「“ブラックウォッチ”タータンのコートが欲しくて頼んだところ、〈マーティン・グリーンフィールド〉の倉庫でヴィンテージの生地が見つかったんだ」。好きな色はパープルだが、この〈ジョージ・コックス〉のポップボーイは絶妙な紫色で一目惚れ。

ワッペン
2021年のメットガラでリオン・ブリッジズのスタイリングをした際、〈BODE〉からもらったもので、息子“Louie”のパッチは自分でカスタム。

Style 02
新作キャップ買いにきたよ。

Mac Huelster
Outer – LQQK Studio
Shirt – J.Crew
T-Shirt – LQQK Studio × Agaric Fly
Pants – Levi’s
Shoes – Red Wing

仲の良い〈LQQK Studio〉のファーストモデルのダウンジャケットと写真家ニック・セシのプリントがポイントのデニムで『Blue-Sun』に遊びにきたマック。「Tシャツもデニムのプリントも〈LQQK〉が手掛けたもので、彼らは生地やプリント、製法をユニークな視点で捉えて服作りをしていていつも驚かされるよ」

レコードショップ『Blue-Sun』
マックの友人ビリー・タイケンが営む、2018年に創業したレコードショップ『Blue-Sun』。厳選されたレコードに加えて、オリジナルアイテムも充実。昨年9月に現在のロケーションに移転。
●400 S 2nd St., Store #1, Brooklyn, NY 11211

Style 03
上着は奥さんとペアルック。

Mac Huelster
Jacket – Kanata
Shirt – Supreme
Pants – Levi’s × Alife
Shoes – George Cox
Beanie – unknown

マックにとっての定番デニムは〈Levi’s〉の501で、ウエストや丈のサイズが違うものを30本ほど所有しているようだが、その中でも特にお気に入りの一本が〈Alife〉とのコラボのもの。「丈とシルエットが絶妙なことに加え、大戦モデルと同じペンキステッチで、しかも色が紺色だから近づかないとわからないディテールも気に入ってる」

Style 04
父がプレゼントしてくれた、マイ・ヘリテージ。

Mac Huelster
Jacket – Filson
Vest – Filson
T-Shirt – 109 Montrose
Pants – Engineered Garments
Shoes – Blohm

自身のお店『109 Montrose』に様子を見に立ち寄ったマック。お店の看板店員ジェームスとは年が離れているけど、仲良し。ヘリテージファッションが好きだから、1897年創業の〈Filson〉の大定番であるバッファローチェックのマッキーノウールを着ている。同じく〈Filson〉のベストはあえてオレンジのチェック柄を選んで遊びをプラス。「大定番の服ってそういうふうに少し捻りを加えないとコスチュームみたいになっちゃうよね」

Style 05
近所はチャリ移動。

Mac Huelster
自転車
Outer – Adsum
Vest – Carhartt
Pants – Filson
Shoes – Vasque
Gloves – Supreme × Irak

自宅近所の公園に〈SURLY〉のバイクで現れたマック、こちらは冬のサイクリングスタイルだとか。ジャケットとキャップ、Tシャツは定期的に仕事をする〈Adsum〉で、10年間着倒していい具合の〈Carhartt〉のベストは、友人でアーティストのサム・フリードマンにペイントしてもらったポケットも含め一生ものだという。

〈Carhartt〉ベスト

Style 06
フライフィッシングの沼へようこそ。

Mac Huelster
釣り
Jacket – Supreme × South2 West8
Sweater – Filson
Waders – Patagonia
Shoes – Patagonia × Danner
Beanie – Housefly Fishing

4年前に始めてから、忙しくとも週1回は行くほどのめり込んでいるというフライフィッシング。「買わずにはいられなかった」という〈Supreme〉×〈South2 West8〉のシェルに、タトゥーアーティストがペンシルべニアで営むフライフィッシング専門店『Housefly Fishing』のオリジナルアイテムなど、スタイリッシュに、でも本気で。

Mac Huelster
「〈Patagonia〉がこれまでに唯一コラボしたのが〈Danner〉なんだ。このウェーディングブーツを作るためにね」 

Style 07
マカロニサラダはハワイ名物だよ。

Mac Huelster
Jacket – Sky High Farm Workwear
Hoodie – Supreme
Pants – D.L. Cerney
Shoes – J.Crew
Beanie – Adsum
コーデュロイパンツ
デッキシューズ

「好きなパープルを多く使って組んでみた」というこちらのスタイル。ヴィンテージ生地でクラシックな服を作る老舗『D.L. Cerney』に自ら生地を持ち込んで作ってもらったヘビーローテーションのパンツに合わせるのは、定期的に仕事をする〈J.CREW〉の新作で、「コーデュロイとデッキシューズでもパープルだからクラシックになりすぎないのがいい」。

プロフィール

Mac Huelster

スタイリスト
ミネソタ州出身。雑誌『i-D』や〈J.CREW〉などのスタイリングを手掛ける傍ら、コーヒーブランド〈Young Coffee〉、ショップ『109 Montrose』を手掛ける。