FASHION

カルチャーと結びつきつつ地元民にも愛されるパークで過ごす人たちの公園スタイルとは?

Tompins Square Park IN NEW YORK

2023.01.17(Tue)

photo: Takeshi Matsumi
text: Shimpei Nakagawa
2023年2月 910号初出

 かつてはプロテストやパンクやハードコアのライブが盛んに行われれば、パティ・スミスがロバート・メイプルソープと初めて出会った場所として「カウンターカルチャーの公園」とも呼ばれた、NYはイーストビレッジにある「トンプキンス・スクエア・パーク」。今でもスケーター、放課後のキッズ、パンクスが集う一方で、仕事の合間にベンチで一息つく人、通勤で行き交う人や、愛犬の散歩に訪れたおじいさん、子連れの家族に、平日の昼下がりミーティングをする人たちなど、老若男女ありとあらゆる人が交差する。そんな都会の真ん中にあるメルティングスポットで思い思いの時間を過ごす人たちの公園スタイルには、カジュアルの中にたしかな個性があった。

Julia Creighton
30/Data Scientist 

愛犬がこの公園のドッグランが好きで週4で来るという彼女は母から譲り受けた’80年代のコートがお気に入り。「丈の長さが気に入っていて、バレエシューズにもぴったり。最近は古着の気分で週に3日は古着屋に通ってる」

Beth Sopko
60/Dog Walker

公園脇に30年住むベスにとってここは庭みたいなもので、毎日日向ぼっこに来るとか。「ラフに着られるミリタリーウェアに、履き心地が最高な〈ビルケンシュトック〉と足袋靴下のセットは私の公園スタイルには欠かせないの」

Anthony Pitruzzello
31/Lawyer

Coat – Amomento
Cardigan – Our Legacy
Pants – Our Legacy
Shoes – Arc’teryx
Scarf – Our Legacy

平日はスーツ出勤のため、週末に思う存分好きな服を楽しんでいるという彼。アメリカンヘリテージ、北欧ブランド、裏原カルチャーのスタイルをベースに、そこに気分を上げてくれる明るい色の服を取り入れているそう。

Sebastian Mlynarski
47/Filmmaker

’90年代初頭はパンクスとしてトンプキンスに入り浸っていて、今は父として愛娘を公園に連れてくるセバスチャン。穴が開いては継ぎ接ぎして15年以上着ている〈バブアー〉は世界中を一緒に回った相棒で愛着もひとしお。

Finley King
24/Movie Director’s Assistant

近くに住む映画監督のアシスタントを務める彼は、仕事柄冬はポケットの多い服をレイヤーする。「〈J.クルー〉の’80~’90年代の広告に出てくるワークウェアスタイルを参考に、冬はいろんな温度に対応できるよう重ね着が必須」

Reno Silver
30/Videographer, Photographer
Chloe MK
28/Musician

前日、彼が同行していたバンドのアメリカツアーから帰ってきて、久しぶりの時間を過ごしていた近所に住む2人。「古着のほうが心地いい」ともっぱらスリフトで手に入れて、お互いに共有し合う。ヴィンテージTシャツを集めているクロエ、この日は動物保護団体「PeTA」のものを。

John Ellert
76/Former Director of Non Profit Organization

愛犬と毎日公園に来ているジョン。モノがたくさん入って暖かい〈L.L.Bean〉のアウターと歩きやすい〈ニューバランス〉は散歩スタイルでは定番。「散歩のときは服には気を使ってない」と言っていたけど、リアルでいい佇まいだ。

Kei Saito
27/Graphic Designer

〈Stray Rats〉や〈Heaven by Marc Jacobs〉などにデザインを提供するケイは、服でも好きなカルチャーをミックスして遊ぶ。「関係性のないHouse of Painのニット帽とCocteau TwinsのTシャツを合わせる感じを楽しんでます」

Daisaku Ray Hidaka
20/Model, Skater

ポパイでも度々モデルをしていたダイサクは現在NYに移り、仲間とスケートしたり、モデルとしても活躍し楽しそうにやっている。「基本的にもらい物ばかりだったけど、最近服にもお金使おうかなと思うようになってます」

at TOMPKINS SQUARE PARK

NYのイーストビレッジ地区に位置する公園。同エリアは’60年代から多くのアーティストやミュージシャンが住みはじめ、ヒッピーやパンク文化の中心地となったことで、カウンターカルチャーとの結びつきが強く、現在もその面影を残しつつ、ローカルを中心に様々な人が時間を過ごす場所に。
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