ファッション

デイリーウェアの常識が、ちょびっと変わった?

最近気づいた「4つ」のデイリーウェアについて。

2021年3月23日

photo: Naoto Date
styling & text: Shunsaku
edit: Koji Toyoda
2021年4月 888号初出

 ニューノーマル。というほど大げさなものではないけれど、なんだか最近、洋服との付き合い方も変わってきたような。

アノラックパーカーを着ている男性
アノラックパーカ¥7,480(インディンペンデント トレーディング カンパニー/ジャヌー2☎03·3797·4435) ユーズドの〈ブルックス ブラザーズ〉のオックスフォードシャツ¥8,690(mAnchies☎03·3463·0623) カーゴナイロンパンツ¥9,889(アディダス スケートボーディング/カリフォルニア ストリート☎03·3461·9725) ユーズドのキャップ¥3,900(tempo☎03·3321·0165)

 コンビニにアノラックを着ていくようになった。レジ袋が有料になってからというもの、なるべく袋はもらわないようにしている。が、僕はエコバッグをよく忘れる。そこで思い出したのが、何年も持て余してきたアノラックの、あの大きなポケット。やはり、ジュースにサンドイッチ、スナック菓子を入れるのにちょうどいいサイズで、バッグと違って、着ていれば忘れることもない。キャットストリートの『ジャヌー・ツー』にあった〈インディペンデント トレーディング カンパニー〉のものは、いたってベーシックなグッドデザインで、値段もTシャツと大して変わらない。水をはじくから多少の雨も大丈夫。これは流行っちゃうかも(笑)。

Independent Trading Company

インディペンデントといっても、あのスケートトラックカンパニーじゃない。こちらは、アクションスポーツの聖地、カリフォルニアのボディブランド。ローカルのチームや企業がカスタムを依頼するだけにTシャツにスウェットに、型も色も無数だが、フード付きのコーチジャケットは、スケーターには知られた存在。彼らが遊び半分で作るスモールブランドのコーチジャケットは大抵ここのものだと聞いたことがある。


メレルのサンダルを履いた男性
サンダル¥5,500(メレル/丸紅フットウェア☎03·3665·1789) ソックス¥429(コンビニエンスウェア/ファミリーマートお客様相談室☎0120·070·198) ジップスウェット¥24,200(CRST-ディガウェル×J.プレス オリジナルズ/J.Pプレス&サンズ アオヤマ☎03·6805·0315) ヘリンボーンベイカーパンツ¥42,900(オールド フォーク ハウス☎03·5774·1408) ユーズドのニットキャップ「ニューヨーク ヤンキース」¥4,500(ナンバー3 Instagram: @number3naka meguro)

 まだ夏でもないのにサンダルばかり履いている。予定がない日は、世の中の情勢関係なしにできる限り家に引きこもりたくて、でも宅配サービスは高いので、しぶしぶ近所にテイクアウトを買いに出る。そんなときはスニーカーの靴紐を結ぶのもおっくうで、自然と足がサンダルを選んでいる。SNSで見つけた〈メレル〉の「ハイドロ モック」は、グッと踏み込むと分厚いEVA素材に足が包み込まれるような感覚が好きで、最近は気づくとこればかり。インパクトのある見た目も、実はかなり未来的だと思っている。電車に乗って隣町のホームセンターだって全然行けるけど、裸足はみっともないからファミマのラインソックスでもはこう。これもSNSで見つけた引きこもりの戦利品。

MERRELL

アウトドアシューズで知られる〈メレル〉の原点は、’70年代にウエスタンブーツ職人のランディ・メレルが作ったハイキングシューズ。これが『バックパッカーマガジン』で北米で最も快適な靴として称賛されると、クラークとジョンという2人のビジネスマンが加わりブランドが誕生。靴の世界にアフタースポーツというジャンルを切り開いた代表作「ジャングル モック」のデビューは’98年の出来事だ。

Convenience Wear

コンビニのプライベートブランドは、衣料品まで手掛ける時代。直球すぎるネーミングのこちらは、現在、関西地区限定のファミリーマートのデイリーウェアブランド。デザイナーを務めるのは〈FACETASM〉の落合宏理さんで、「Paircool®」など機能素材を使ったTシャツやタンクトップに、今治タオルやファミマカラーのラインソックスまで。どれもちょうどいい雰囲気。気になる全国発売は323日から。


スウェットパーカーを着ている男性
スウェットパーカ€40(Eighteen86 www.eighteen86.com) ユーズドの〈ラルフ ローレン〉のタートルネック¥4,290(mAnchies☎03·3463·0623) スウェットパンツ€40(Eighteen86) その他は私物

 最近はなかなかお店にも行けず、欲しいものが見つかるのは、もっぱらオンライン。コロナ禍で洋服を整理しているとき、結局手元に残るのは、思い出や思い入れのある服なのだと気がついた。NYで買ったスタジャンに、お土産のTシャツ。近頃そんな買い物ができていなかったが、先日、アーセナルのヴィンテージアイテムを集めているクルーたちをネットで見つけた。そう、僕はグーナー(アーセナルのファン)なのだ。調べれば、そのクルーは昔のアーセナルのアイテムをサンプリングして、新品のスウェットのセットアップを作っていた。しかも安い。これを着て、家で静かにサッカー観戦を楽しもう。この新しい生活もなんだか板についてきた。

EIGHTEEN86

ロンドンっ子のエドとマックスウェルは、超が付くほどのアーセナルファン。ヴィンテージのユニフォームはもちろんアーセナルと名の付くものならひたすら集めて、ファンジン『POISON LASAGNA』まで作っている。〈エイティーン86〉は、そんな彼らのオンラインショップ。勢い余って最近はアンオフィシャルのブートまで作り始めたが、これがクラブが黙認するほどに熱のこもったいい出来栄え。


自転車に乗る男性
トラックパンツ¥25,300(ダブルタップス www.wtaps.com) ジップスウェット¥10,890(ガール/カリフォルニア ストリート) ボタンダウンシャツ¥14,300(J.プレス オリジナルズ/J.プレス&サンズ アオヤマ☎03·6805·0315) ソックス¥4,356(マギーズ オーガニック/プロップスストア☎03·3796·0960) シューズ¥25,300(クラークス オリジナルズ/クラークス ジャパン☎03·5411·3055) B M X「サバイバー24」¥82,500(クワハラ/スクリーミンウィールズ☎03·6303·2985)

 近頃、僕のパンツには“しぼり”が付いている。裾をぎゅっと絞る、あのリブのことだ。電車に乗るにも人との距離をいちいち気にするご時世で、なんだか疲れてしまうので、予定のある日はいつもより早く家を出て、自転車で待ち合わせ場所に向かうのが習慣になった。これならペダルも漕ぎやすく、家でスウェットパンツばかりはいているせいか、形もやけに体に馴染む。相棒は〈ダブルタップス〉のもので、水もはじくポリエステルタフタ生地は通気性がすごく良く、街を流せば春めく東京の風を感じられて気持ちがいい。良い塩梅にテーパードが効いて、いつものワラビーにも合う。感覚としては、これはスラックスに近いんだよな。

WTAPS

そもそもの始まりは一枚のBDUシャツ。’93から〈フォーティパーセント アゲインスト ライツ〉を手掛けていた西山徹さんが、’96年に着たいものを作るという発想から、当時まだ大衆性のなかったミリタリーの要素を取り入れたラインナップを〈WTAPS〉として展開。’90年代のストリートにミリタリーの種を確実に蒔いた。そのBDUシャツは25年たった今もカタログの定位置をキープしている。