TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#1】東大ファッションの現在

執筆:Dumb Store

2026年6月13日

text: Mare Fukui, Kohei Kuwada
edit: Koji Teramoto

僕(マーレ)は、仲良しの教授と共に「ファッションを東大する」というPodcastを毎週金曜日に配信している。
今回は、一学生として感じてきた東大ファッションのリアルを僕の独断と偏見で紹介する。

東大は日本で一番頭が良い大学と言われている。
でも、当の東大生はこのことを忘れている人が多い。

数々の受験を通して染みついた競争原理が体から抜けないのだと思う。
大学の中でもトップを目指すことは悪いことじゃないと思うけれど、何も考えずにその競争に巻き込まれてしまうことは健康に悪いと思う。

東大生は特に、努力に依存している。
それはファッションに表れている。

受験では、合格点に到達すれば良いだけだから得意な科目を伸ばすのが定石である。
その原理でいくと得意な勉強に時間を割く一方で、難しそうなファッションは手をつけるメリットがない。

キャンパスではファッションを感じることが少ない。
やはりファッションが出るのは靴である。
僕の勝手なリサーチによれば、東大のキャンパスではとにかく機能性を重視したスポーティなランニングシューズを履いている人が多い。以前、都内の別の私大に行った時は、同じスニーカーでもトレンド感のあるレトロなローテクモデルが席巻していて驚いた。

ものすごい偏見だが、男の子の僕からすれば、ファッションを持ち込むのはお兄ちゃんがいる子だと思っている。
大学生の兄貴にSUPREMEを教えてもらった高校生の弟が周りの友達と原宿に行くところからファッションが始まる気がする。
しかしほとんどの東大生は部活と勉強で高校生活を駆け抜けている。
そんな生活に服のことが入り込む余地はない。
もちろんお金もそんなにないから、なおさら。

僕は世の中が意味に支配されてきていると感じる。
意味のあることをしている間しか生きていると感じない人が多いのではないか。
僕の身の回りを見渡しても、起業するとなればITや地方創生といった「明確な社会課題の解決」をテーマに選ぶ友人が多いように感じる。
それに比べて、今日の自分の服装が社会に与える影響はあまりにも小さい(と彼らは思っている)。

店名の「DUMB STORE」はアメリカのダムフォンから取っている。
メモや電話などの最低限の機能しかない”バカな携帯”である。
SNSで人と比べるのではなく、自分の目で見て自分の頭で考えるということ。
いつでも大切なことは自分らしくあることだ。

(2度目のポップアップの準備中、何気なく置いた植物が美しく見えて撮った写真)

2度ポップアップを開催した。
様々な肩書を持つ方が来てくれて本当に嬉しかった。
“ダサい”という偏見をよく突きつけられる東大生であるが、みんなちゃんと好みはあって、これは似合うとかこれは好きじゃないとか議論する時間はあっという間に過ぎてしまった。

コロナを経て、人間関係の合理化が加速したように感じる。

東大とファッションをつなぐ接点になりたい。
ファッションと東大、理系と文系、業界人と一般人。
東大生は機会さえあれば跳ねると信じている。


と、マーレ君が現役生の視点で書いてくれた。
私(桑田)にはまた違う風にキャンパスが見えているが、「ダムフォン」というワードはとても気に入っている。

プロフィール

【#1】東大ファッションの現在

福井磨亜怜

ふくいまあれ|2004年生まれ。東京大学在学中。2025年「東大をオシャレにする」というコンセプトのもと古着屋Dumb Storeをオンラインでスタート。これまでに2回のポップアップを開催している。桑田光平教授とのPodcast”ファッションを東大する”は毎週金曜日配信中。

instagram
https://www.instagram.com/dumbstore_tokyo/

podcast
https://open.spotify.com/show/4khnhqdmn5bR1qmQRCYEgk?si=16857fc19c204da3


【#1】東大ファッションの現在

桑田光平

くわだこうへい|1974年生まれ。東京大学教授。パリ・ソルボンヌ大学大学院博士課程修了。フランス語圏の近現代文芸が専門。教育や建築文化に関する官民との共同研究にも従事。文化庁・建築文化フェロー。興味のおもむくまま研究しながら、ヒトやモノとの出会いに巻き込まれ、身を任せながら漂流する日々。2025年4月からPARTNERS STUDIOにエディター/アドバイザーとしてジョイン

Official Website
https://www.partners.studio