ライフスタイル
頭の中に留めておいて欲しい、ねじ屋の総本山『三和鋲螺』。
東京五十音散策 蒲田①
2024年2月20日
photo: Hiroshi Nakamura
text: Fuya Uto
edit: Toromatsu
東京都内の駅名を「あ」から五十音順に選出し、その駅の気になる店やスポットなどをぶらりと周っていく連載企画「東京五十音散策」。「か」は蒲田へ。
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2024/02/THE-NEJI_031.jpg)
ねじに興味を持ったことがあるかと聞かれたら、大抵の人は首を横に振ると思う。だけどねじ業界にはこんな言葉がある。「現代人は30cm以上ねじから離れて生活することができない」――。スマホ、テレビ、リモコン、冷蔵庫に洗濯機といった家電製品は言わずもがな、家具、自転車に、玩具……人間の身の周りにあるもののほとんどにねじが使われているのに、なぜか僕たちはねじに対する認識が甘い。
「ねじの穴のことをねじ山とは言わない」らしいし「ドライバーは大きいものから順にネジの穴に合わせていくといい」のだそう。〈イケア〉などにおけるヨーロッパの輸入製品には、ブラス穴の部分にバツ印がついているポジドライブと呼ばれるイギリス発祥のねじ(穴)が用いられていることがあり、それ用のドライバーを使わなくてはねじの穴がつぶれやすくなるみたいだ。
そんな知っておいて損はないねじの世界を丁寧に教えてくれた専門店がある。京急蒲田駅から北東へ、松竹映画の撮影所があったことから由来がついたキネマ通りを抜けた先にある、戦後1950年から代々続く『三和鋲螺(さんわびょうら)』だ。誰でも気軽に買いに行ける小さな販売所を持つここには、日本では一般的なJIS(日本国内の工業規格)のねじが約20万点あり、加えて主に米国で使用されているユニファイ規格のインチねじが日本随一の品ぞろえで約10万点もある。
『三和鋲螺』が海外のねじを取り扱うようになったのは、一冊のアメリカの電話帳がきっかけ。現在3代目となる石井健友(いしい・たけとも)さんの父である先代が、’80年代にそれを頼って、片っ端からFAXを送信。唯一返信がきた1社をめがけて単身渡米し、見事に商談を成立させスーツケース一杯にネジを詰め込み帰国したのだという。
もので溢れかえる現代。趣味のものだって、自分でいじるようになってこそ真の趣味人だし、身の回りのものも少しくらい自分で直せる人でありたい。できれば手を加えたかったものがそこにあるなら新しい世界を知るチャンス! 先代のフロンティアスピリットを見習い、しっかりフィットするねじやドライバーを探しに『三和鋲螺』に訪れてみてほしい。
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2024/02/THE-NEJI_006.jpg)
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インフォメーション
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2024/02/THE-NEJI_030-320x480.jpg)
三和鋲螺
もともとは自動車産業が盛んだったエリアの虎ノ門で開業したが、2018年に生家の蒲田に居を移した知る人ぞ知る老舗。ネジだけでなく、セレクトしたワンランク上の工具も販売している。ぜひ留め方全般に困ったら思い出して欲しい! 修繕が目的ならその物自体を持ち込んだ方がベターで、何かを作る時は具材のサイズや完成品のイメージを記したラフスケッチを持っていこう。
◯大田区北糀谷2丁目7−1 石井ビル1階 8:30~17:30 日祝休
Official Website
https://www.neji.co.jp/
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