ライフスタイル

自然と吸い込まれる、珍奇の扉も開く街の花屋『HANACHO』。

東京五十音散策 梅ヶ丘③

2023年11月4日

photo: Hiroshi Nakamura
text: Eri Machida
edit: Toromatsu

東京都内の駅名を「あ」から五十音順に選出し、その駅の気になる店やスポットなどをぶらりと周っていく企画「東京五十音散歩」がスタート。3文字目「う」は梅ヶ丘。

HANACHO

 ここ数年でよく耳にするようになった「珍奇植物」。専門性の高い分野というイメージがあったけれど、梅ヶ丘で40年続く老舗花屋『HANACHO』に並んでいるのを発見。ふらっと立ち寄るつもりが、新しい興味の扉を開かれてしまった。

『HANACHO』は隣接する2つの店舗で構成されており、メインの空間は1983年創業。街の花屋にしては規模の大きい店内で、扱う切り花は100本以上、野菜や植物の苗は1000個ほどあり、冬になるとさらに種類が増える。また、花器や植木鉢、手入れ用の薬品のラインナップも充実しているから、買った後にも寄り添ってくれていて信頼できる。

花器
オランダのデザインメーカー〈DESPOTS〉やベルギーのフラワーベースブランド〈Henry Dean〉などの花器が並ぶ。
植木鉢
植木鉢も購入可能。植えかえにも対応してくれる。
パキプス
マダガスカルから輸入したパキプス。発芽率が低く、お店に届いたもののうち3分の1ほどしか育たないそう。
ユーフォルビア・氷河
「ユーフォルビア・氷河」。初雪草ともいい、日光を好むので外で育てるのにも適している。サボテンのようだが「ポインセチア」と同じ仲間。

 珍奇植物を置き始めたのは20年前で、当時は全く浸透していなかったそう。知り合いにバイヤーがいたことから仕入れを開始し、今では珍奇植物の先駆的な存在としてわざわざ足を運ぶ人がいるお店となった。人気があると教えてくれた「パキプス」は22万と超高価で、手に入りやすい数百円のもののなかに数十万円の珍奇が混在していた。

 街に1つはある日常づかいの花屋でありながら、珍しい植物だけを厳選して置いているアートギャラリーさながらのスペースがある見どころの多いお店。きらきらとした光に照らされた植物はさらに美しく見えて、街を歩いている間には見かけなかった蝶がひらひらと舞っていた。いい店に吸い込まれるのは人だけではないのだ。

インフォメーション

HANACHO

HANACHO

家業として代々花屋を営んでいる家庭に生まれた店主の山本茂さん。オープン当時は大学生で学校に通いながら営業していたそう。祖父の名前「長吉」からとった名前が店名の由来。珍奇植物は年に5,6回アフリカやタイから輸入しており、代々木上原には珍奇植物のみを扱う姉妹店『HANACHO motoyoyogi』がある。5人のスタッフの中にはフラワーアレンジの勉強をしていた方もいて、インスタグラムに載っているブーケがワイルドかつシック。生花はもちろんドライフラワーの種類も多く、どちらの花束もプレゼントにぴったり。

◯東京都世田谷区梅丘1-14-6 03-3428-8125 水休

Instagram
https://www.instagram.com/hanacho_exotics_plants/

Official Website
https://hanacho.theshop.jp/