カルチャー

未完の街で変化を重ねる、未完のライフスタイルショップ『BTR』。

東京五十音散策 麻布十番④

2023年9月4日

photo: Hiroshi Nakamura
text: Ryoma Uchida
edit: Toromatsu

東京都内の駅名を「あ」から五十音順に選出し、その駅の気になる店やスポットなどをぶらりと周っていく企画「東京五十音散策」がスタート。1文字目「あ」は麻布十番。

 スペインには未完の聖堂・サグラダファミリアがある。今年は関連する展覧会『ガウディとサグラダ・ファミリア展』も開催されてなにかと話題だ。展示を見たあと久々に麻布十番を訪れてみると、新たなマンションや公園ができていて、麻布台ヒルズという建物まで開業間近。ここは、時代ごとに様々な人や文化が入り乱れる、”未完の街”であると感じた。

 そんな麻布十番にあって、雑貨や家具を中心に衣類やフードまで幅広く扱うライフスタイルショップ『BTR』は憩いの場だ。麻布らしい品の良さは失わず、厳選されたセレクトの中からモノを発掘する楽しさも兼ね備えている。

 約10年前『brownie and tea room』という名前でスタートさせたのがお店の始まり。英国をはじめとするヨーロッパのビンテージ雑貨を扱っていたそう。頭文字を取って『BTR』としてリスタートさせ、より幅広くモノを扱うようになったのが2年前。「イギリスに買い付けに行くうち、だんだんと好きなものの範囲が広がったんです。素敵なものはどこにでもあると気づきました」と店主の小梅さん。

 いいものとの出合い、人との関わりを通してお店が出来上がってきた。食への興味も、店内でのイベントを通して広がったという。「飲食を提供するカウンターを作ったのが昨年です。自分が好きなものや気になったことを模索しながら、来てくれる人たちとの共有を楽しみ、これからもゆっくり変化していきたい」と語る。

 まるでサグラダファミリアのように、変化と拡張を重ねていることが、お店のもつ大きな魅力に繋がっているのかもしれない、なんて思った。お店にはお昼前ごろに訪れると日が差していて気持ちいいそうなので、アイスを食べてショッピングをすれば良い1日が”完成”に近づきそうだ。

インフォメーション

BTR外観

BTR

最近は作家と食にフォーカスしている、と小梅さん。一度食べたら病みつきになるという『BTR』のオリジナル・パッケージのお塩(坊津の華)やカリフォルニア在住のアーティストCharlotte Beaversのカレンダー、NAOTAROSTUDIO PREPAによるガラスペーパーウェイトなどなど気になるものはたくさん。イベントも定期的に行っているので要チェック。オンラインストアもオープン。https://b-t-r.stores.jp/

◯東京都港区南麻布1-3-15 ☎︎03・3454•3786 11:00~18:00 火・水曜休