ファッション

アメリカ古着やアフリカオブジェ、アノニマスなものを揃える『Tam』へ。

東京五十音散策 池尻大橋③

2023年7月18日

photo: Hiroshi Nakamura
text: Fuya Uto
edit: Toromatsu

東京都内の駅名を「あ」から五十音順に選出し、その駅の気になる店やスポットなどをぶらりと周っていく企画「東京五十音散策」がスタート。2文字目「い」は池尻大橋

とにかく古着屋があれば立ち寄っていきたい! 名の知れた名品を探すのもいいし、自分だけが魅力を感じているかもしれないと思えるアノニマス(作者不明)なものを発見するのもいい。池尻大橋では後者を存分に楽しめる店を発見した。

駅から中目黒方向へ歩くと、陸橋のある交差点角に大きなガラス張りの窓が目をひく古着屋が見える。ここ『Tam』は、新旧問わず独特な目線で選ばれた’80〜’90年代を中心としたアメリカ古着、アフリカのストーンオブジェや陶器が揃う。店主の河野太郎さんと妻の貴代さんは今年でこのお店を始めて12年。買い付けは店をクローズしたり誰かに手伝ってもらったりしながらでも頻繁にアメリカへ足を伸ばしているという。

「現地の人ってメーカーや名前にとらわれずにごく自然に古着やインテリア品を買っているのが多い印象があるんです。実際スリフトを周っていたりすると、純粋に自分が好きなものを選んで生活に取り入れている人の姿を目にして、すごく豊かな光景に思えて。自分たちも、来てくださる人それぞれの価値観で、自由にものを選べるようなお店にしようと買い付けを行なっています」。

アイテムを例にあげると、達者な人ならモードに着こなせそうな防護服タイプの蚊帳、ブランド不明のフード付きデニムジャケットに、どこかの家族写真がプリントされたスウェットなど。オブジェや陶器、木彫りや花瓶も同様に、女体を模したくるみ割り人形など初めてお目にかかるようなものばかり(しかも破格!)

古着屋のスタンスも千差万別。ヴィンテージ名作をコレクトする店や、無人店、2000年代ものを軸にした店など素敵なところがいろいろあるけど、ここは物の価値が顧客にゆだねられていて骨董屋のようで面白い。西日がふんだんに入り込み、ゆったりとした時間が流れる店内で河野夫妻と「このアイテムのここが良いよね」と私的な目線を話し合うのが『Tam』での醍醐味だ。

インフォメーション

Tam オーナー夫妻

Tam

池尻大橋駅東口を出て約8分。オーナー夫妻が美術的な視点で選んだジャンルレスなものが並ぶ古着屋。メンズとレディースの古着、アフリカに限らずアメリカの陶器・ガラス花瓶なども。太郎さんは大手セレクトショップで実績を積んだ正統派も知る人。営業スタートがゆっくりで夜遅くまでやっているから、池尻や中目で夕食後に遊びに行ったりできるのも魅力。

○目黒区青葉台3-7-10クロスワン101 ☎︎03-6416-4710 15:00〜22:00 水休

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