TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#4】東京と福井の2拠点生活。

執筆:高田陸央 (閃)

2026年9月4日


text: Rikuo Takata
edit: Koji Teramoto

月に何回かの金曜日は、仕事を終えると福井に向かう北陸新幹線の終電に飛び乗る。

平日は東京で会社員として働きながら、福井県にいる仲間たちと「閃」というチームで活動している。福井では越前ハウスという閃の拠点で制作の日々。そんな生活を始めてから3年近く経つ。

東京から約4時間。最寄りの駅に着く頃には日付が変わる少し前。

駅を出ると、少し湿った空気と一緒に草木の匂いがむわっと香る。越前たけふ駅の周りは田んぼばかりで、夜はとても静か。夜空を見上げると東京ではなかなか見られないくらいたくさんの星が見える。この匂いを嗅いで夜空を見上げると、福井での生活が始まった感じがする。

福井には愛車がいる。日産の軽バン、クリッパーリオの通称「リオちゃん」走行距離が20万キロ近い年季の入った相棒。メルカリで15万円で買った、去年のベストバイ。福井ではリオちゃんに乗って走り回る。

福井では、最近取り組んでいる越前和紙を体験できるホテル「SUKU」の新しいプロジェクトの打ち合わせをしたり、近くの職人さんの工房へ遊びに行ったりする。越前和紙をはじめ、ものをつくる現場が町の中に点在していて、気になったことがあれば直接会いに行って話ができる。そんな距離感も、この町で活動する面白さのひとつだと思う。

一方で、特に用もないのにみんなでドン・キホーテへ行くことも多い。店内をぶらぶらして、面白いものやくだらないものを見つけては、ああだこうだ言う。工房へ行くのもドンキへ行くのも、自分たちにとっては同じ週末の風景になっている。

僕らの拠点「越前ハウス」には、小さな工房もある。ラジオや音楽を流して籠もり、黙々と手を動かす。気づけば何時間も経っていて、身体はくたくた。でも、余計なことを考えず、目の前のものをつくることだけに没頭できる時間はすごく楽しい。最近はメンバーの弘晃の新しい工房に勝手に湧き水の水風呂を作った。楽しい。

作業を終えたら、だいたい温泉へ行く。たまにドラム缶で五右衛門風呂をやったりする。田んぼに囲まれながらの五右衛門風呂は最高だ。

不思議と福井にいると、東京にいるときよりよく食べて、よく飲んで、よく眠る。ものをつくって、人と話して、たくさん遊んで、身体はくたくたになる。でも日曜日、新幹線に乗る頃には、来たときより少し元気になっている。そんな週末を過ごすと、また月曜日から頑張ろうと思える。


福井の好きな場所

Livin’ for green

閃のメンバーと何年も前から通っている、本格的だけど優しい味のスパイスカレー屋さん。食べると元気が出る俺たちのソウルフード。○福井市中央1-17-1 アップルビル2F

プロフィール

福井県越前市を拠点に活動する同世代クリエイター、大西弘晃 上田樹一 高田陸央 深治遼也の4人によるクリエイティブチーム。
それぞれの異なる専門性を交差させながら、地域ならではの素材や文化に現地で触れ、それぞれが手を動かすことを通して新たな価値や解釈の創出を目指す。

Official Website
https://sen-fukui.com/

Instagram
https://www.instagram.com/sen_fukui/


高田陸央

たかた・りくお|1998 年三重県生まれ。2021年金沢美術工芸大学デザイン科卒業。東京でインハウスデザイナーとして働きながら福井を拠点に活動。生活する中で、出会った伝統的な職人の技術や文化にインスピレーションを得た作品を中心に制作を続けている。

Instagram
https://www.instagram.com/rikuo_takata/