TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#3】新工場

執筆:大西弘晃(閃)

2026年8月28日


text: Hiroaki Onishi
edit: Koji Teramoto

工場が新しくなった。というのも職場が変わったからだ。もともと高校の同級生と始めた木工所を離れ、一人で新たに木工を始めた。理由は単純で自分の興味の幅が広がったからだ。
今まではオーダー家具制作をしていたが、ヴィンテージ家具のリペアや布製品のデザインや縫製などにも興味が沸いていた。

20歳の時、木工を始めたいと思って工場を探していたら、福井の山間部に廃工場を見つけ、神奈川県から移住することに決めた。

そこから7年がたった今、この地で木工所を一から作るのは2回目だ。1回目は同級生と、そして今回は1人。不安な気持ちとワクワクが同時に押し寄せる、工場稼働までの3ヶ月が始まった。

自宅から数キロの距離に前々から気になっている空き物件があり、そこを第一候補とした。第二候補もあったが1件目の物件への熱意が強く、気づいた時には持ち主探しに動いていた。田舎のコミュニティーは狭く、近所の知り合いを当たったところ、すぐに持ち主が見つかった。気さくな方で、自分がこの場所を借りたいと伝えたところ、快諾してくれた。

中古木工機械はオークションサイトやフリマサイトに溢れている。新たに木工を始める人より、やめる人の方が多いからだろうと勝手に思っている。なるべく初期費用を抑えたかった自分は、この時期数々のサイトに張り付いていた。そして見つけた。富山県で出品されている格安木工スターターセット6点。これを逃す訳にはいかない、急ぎアポを取り、車を走らせ、機械を見に行った。年式は古いものの、機械の状態は良かった。聞けば、廃業した建具屋から引き取ったものだと言う。2ヶ月前まで使われていたものらしく、その場で購入し、後日運搬してもらった。

機械が揃っても電気が通らないと使えない。町の電気屋に相談だ。付き合いもあり電話一本で新工場まで見に来てくれた。7年ぶりの再会だ。まさか同じ人に工場の電気工事を2回発注するとは思わなかったので不思議な感覚だ。エアコン工事で忙しい時期にも関わらず、数日のうちに工事を済ませてくれた。これでようやく機械が動かせるようになる。

まだまだ設備は足りていないが、この先楽しみながらアップデートしていきたいと思う。

精神の磨り減った3ヶ月だったが、多くの人に助けられ、運に恵まれ、短期間で工場を稼働できたことをとても嬉しく思う。


福井の好きな場所

六呂師高原

福井県の経ヶ岳の山麓に広がる高原で、日中は搾りたての生乳を使ったソフトクリームが食べられる。疲れた夜は一人で車を走らせ、満点の星空を見に行く。道中、猪やサル、鹿、狸などが出てくるので、毎回何匹動物に出会えるか数えるのも楽しみだ。

プロフィール

福井県越前市を拠点に活動する同世代クリエイター、大西弘晃 上田樹一 高田陸央 深治遼也の4人によるクリエイティブチーム。
それぞれの異なる専門性を交差させながら、地域ならではの素材や文化に現地で触れ、それぞれが手を動かすことを通して新たな価値や解釈の創出を目指す。

Official Website
https://sen-fukui.com/

Instagram
https://www.instagram.com/sen_fukui/


大西弘晃

おおにし・ひろあき|1998年生まれ漢26歳。家具製造業。好きな食べ物は〆さば。良くも悪くもライブ感のある制作スタイルで活動中。よろしく。

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