TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#3】幼なじみのシンちゃん。

執筆:中村健太

2026年7月24日

子どもの頃、ずーっとシンちゃんと遊んでいた。

シンちゃんと僕。

家が近所で、シンちゃんの方が先に生まれていたので、物心がついたころには、シンちゃんがいるのが当たり前だった。

シンちゃんは、勉強ができて、運動神経もよかった。また明るく朗らかな性格だったので、いつも友だちの輪の中心にいた。

僕は当時、人とコミュニケーションを取るのが絶望的に苦手で、いつもシンちゃんの後ろについて回っていた。

僕は、そんな彼のことを一番身近なヒーローのように感じていた。

小学生のころ、シンちゃんの家の前で二人でキャッチボールをしていた。

家の向かいがぶどう園で、昔は人が入って来れないようにフェンスが設置されており、フェンスの下の方には、地面から1.5メートルほど高い位置を側溝が通っていた。

キャッチボールをしてると、彼が送球ミスをしてしまい、ボールは僕の横を通り過ぎ、その側溝に吸い込まれていった。

僕はボールを回収すべく壁によじ登り、側溝を覗き込んだ。そこにはボールとエロ本が落ちていた。

「シンちゃん!ちょっと来て!!エロ本が落ちちょう!!!」

気づいたら僕は叫んでいた。

シンちゃんもビックリしたような顔で側溝を覗き込んだ。

「ホントや。エロ本や。」

当時、小学生の僕らにはそのエロ本を家に持って帰る勇気もなく、とりあえずこのまま置いておくことにした。

それからというもの、キャッチボールは意味をなさなくなり、いかに、ボールを側溝に投げ込み、エロ本を見られるかというゲームにすり替わっていった。

大人になり、小学校の同窓会があった。

その席で僕は、『あの側溝のエロ本の話』をみんなにした。一緒に笑っていたシンちゃんが、急に真面目な顔になった。

「俺、ケンちゃんに黙ってたことがある。あのエロ本、実は俺が側溝に隠してたんよ。」

そのとき受けた衝撃を詠んだ一首を紹介したい。

 

あの日ふたりで見てた溝のエロ本知らなかったよ君のものとは

 

シンちゃんにこの件を掲載していいかという連絡をした。

その際に、拾ったときの状況をいままで詳しく聞いたことがなかったので、再現してもらうことにした。

大人になったシンちゃん。

エロ本だと生々しすぎるので、絵本で代用した。

エロ本を見つけて2,3日ほど、持って帰れずウロウロしてたらしい。

状態を確認して

あっ、持ち去った。

ここがその側溝。

ここがその側溝。

キャッチボールと見せかけて

ボールを側溝に投げ込み、エロ本を見られるかというゲーム。

協力ありがとう!シンちゃん!

プロフィール

中村健太

なかむら・けんた|福岡と東京を拠点に活動。「STUDIO LOBJET」所属。価値観の拡張と共生の補助をキーワードに写真表現を行う。

2016年VOGUE ITALIA誌が選ぶベストフォト100、同年・同誌「PHOTO VOGUE」のフォトグラファーベスト30に選出された。3Dメガネを使ったシリーズ「Your story」が注目を浴び、『It’s Nice That』をはじめ、さまざまなメディアで紹介された。

主な個展に「おたがい年を取ったね。」(C7C gallery, 名古屋, 2026)、「歯が抜けた」(LIBRIS KOBAKO, 福岡, 2023)、「遺影、飾ってイイですか!?」(in the past, 大牟田, 2023)、「ハロー、グッバイ。」(かもめブックス, 神楽坂, 2019)、「Your story」(ニジニタギル美術館, ロシア, 2017)。主なグループ展に 「Labs New Artists」(Red Hook Labs, ニューヨーク, 2017)、「PHOTOVOGUE/inFASHION」(BASE MILANO, ミラノ, 2016)などがある。

Instagram
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