ライフスタイル

家の猫の話 Vol.29/文・ピエール瀧

2026年7月5日

家の猫の話


photo & text: Pierre Taki
edit: Ryoma Uchida

さっき、まあまあな揺れの地震がありました。山梨県の富士五湖近辺が震源だそうで、震度6弱を観測し、東京でも震度4相当の揺れがしばらく続きました。

テレビでワールドカップのダイジェストを観ていた嫁が、軋んだ家の音に怖がって近寄ってきたので、「大丈夫だ。ほら、猫たちを見てみろ」と猫たちを指さして落ち着かせました。

ブイヨンはチェアの座面の上でおはぎのように丸くなったままで寝息を立てており、コロッケはソファーの背の部分でペタリと平べったく腹ばいになって細目で脱力瞑想しています。通常運転の極み。

こういう地震の時の我が家の猫って、なぜかいつもほぼ落ち着いてるんですよね。これまで何回か大きめの地震に遭遇してきた我が家ですが、地震に驚いた猫がパニックになってリビングを駆け回ったりする姿を一度も見たことがありません。なぜかいつもシレ~ッと他人事のようにしています。気構えが豪胆なのか、それとも鈍いのか…。

勝手な想像ですが、自分が抱くこういう時の犬の行動イメージは、①まず初動の人間に感知できない地響きを敏感にキャッチして耳がピクン!②バウバウ吠えながらいち早く飼い主に危険を知らせ、自らも避難経路の方に率先して移動③無事に危険をやり過ごした後、飼い主からの褒めと称賛を浴びながら撫でてもらって満足。そんな感じ。どうでですかね?合ってます?犬の飼い主の皆さん。

これがウチの猫の場合だと、①寝てる②寝てる③寝てる、の3連コンボとなります。もちろん身の危険を感じるような強い揺れの場合は違う反応なのでしょうが、幸いにも我が家はまだそういった状況に出くわしていないので、毎度ヤツらは完全に落ち着き払った態度で地震をやり過ごしています。「ねえキミたち?アニマルセンサー働いてる?そんなんでいいのかね?」という気にもなりますが、彼らが本気で慌てた時こそ、いよいよな規模の地震がやってくるその時なのかもしれません。

あと余談ですが、猫って実は静電気にも強いです。冬場の乾燥季節がやってくると、あの毛皮の効果でいつの間にか(というかしょっちゅう)静電気を帯電しているのですが、何気なく頭を撫でた時に猫の鼻先と人間の指が触れてパチッ!っと放電現象が起きます。人間サイドは「うわ!」なんつってちょっと驚くのですが、ウチの猫たちは毎度なんでもない顔をしています。まあまあな強さの刺激が鼻先で起きてるのに反応がないってことは、意外と猫の鼻先って鈍いんですかね?それとも人間が敏感なだけ?

猫同士でお尻の臭いを嗅ぎ合ってることもありますが、その場合、鼻先と肛門で静電気がパチッ!ってなってるかと思うと笑えますね、「おい!ケツはやめろってば~」みたいな感じで怒られたりして。パチッ!ってなったときに一瞬身体がうっすら光ったりしたら面白いんですけどね。誰かそういう猫開発してくれないですかね、ピカチュウならぬピカニャンって感じで。

よくよく考えたら、地震も静電気も自然現象ですね。自然現象への対応の歴史としては猫も相当なモンでしょうから、学ぶべき部分があるのは実は人間の方なのかもしれませんね。

プロフィール

ピエール瀧

ぴえーる・たき | 1967年、静岡県出身。1989年に石野卓球らと電気グルーヴを結成。道行く人に「あなたのオススメは?」と尋ね、その返答の通りに旅をするYouTube番組『YOUR RECOMMENDATIONS』が好評配信中。著書に『ピエール瀧の23区23時』(産業編集センター)、『屁で空中ウクライナ』(太田出版)など。『地面師たち』『ガス人間』(Netflix)、映画『宝島』(大友啓史監督)映画『ホウセンカ』(木下麦監督)のほか多数出演。

電気グルーヴ公式ウェブサイト
https://www.denkigroove.com/