ライフスタイル

家の猫の話 Vol.27/文・ピエール瀧

2026年5月5日

家の猫の話


photo & text: Pierre Taki
edit: Ryoma Uchida

最近、オイラとブイヨンの仲が急速に深まっています、嬉しいことに。

ブイヨンは基本ツンデレで、極稀にある彼女の機嫌が良いときに、いつの間にかオイラの傍にやってきて腹を触らせてくれるという話は以前しました。ところが最近はその頻度が増え、1日に1回、日によっては数回もオイラのところにやってきてくれるようになったのです。

このブイヨンの行動の変化に対してオイラが思い当たる原因は、おそらくオイラがブイヨンの腹の触り方を会得したからでしょう。

ブイヨンは以前、膀胱に結石ができてしまって手術をしたので、オイラは彼女の腹を触るときに「どこか違和感を感じるところはないかな?」と、医者の触診気分でお腹をマッサージしたり、下腹部を軽く押したりして反応を探っていたのですが、あるときから“ここを触ると超おとなしくなる”という部分を発見しました。それは乳首。

ブイヨンの胸からお腹にかけて乳首がいくつかあるのですが、そのポチポチをマッサージしてあげるように撫でると、ブイヨンの表情が一気に“安寧モード”に変わり、平和この上ないバイブスを放ち始めるのです。これは大発見。

ブイヨンは出産経験がない猫ですが、もしかしたら全てのメス猫にはこのスイッチが備わっているのではないでしょうか?テレビなんかで母猫が何匹もの子猫に乳を与えている映像を見たことがありますが、そのときの母猫も達観したような表情をしていました。ブイヨンの腹を撫でていると、時折撫でているオイラの手をぺろぺろ舐めてきたりすることがあり、この時にしかしない彼女の反応も仮説の裏付けになっています。

生まれたばかりの子猫にとっての生きる源は母猫のおっぱい。もし母猫がおっぱいを与えることに多大なストレスを感じるのであれば、たちまち子猫の命は危険に晒されてしまうでしょう。そうならないように、乳首付近に刺激を感じたら抵抗するのをやめて、なすがままの状態になるように関連づけられているのではないでしょうか?

ちなみにウチの場合ですと、コロッケは腹を触られるのが大嫌いです。他の身体の部分は割と好き勝手に触らせてくれる(尻尾は除く)のですが、腹を撫でると秒で噛んできます。きっと何かが気に入らないのでしょう。

さっきネットで調べてみたら、猫の乳首はオス猫にもあり、一般的に8個(4対)が平均の数らしいです。乳首が8個もあるということは、基本多産を前提にした哺乳類なのでしょう。そう考えると、人間が自然妊娠で双子を出産する確率の1%に比べて、三つ子を出産する確率が0.006%になるのも頷けます。乳首2個しかないですから。

メス猫を飼っている皆さん、もしくはメス猫に触るチャンスを得た猫好きの皆さんは、この仮説が正しいかどうか是非確認してみてください。あ、報告は別にいらないです。

プロフィール

ピエール瀧

ぴえーる・たき | 1967年、静岡県出身。1989年に石野卓球らと電気グルーヴを結成。道行く人に「あなたのオススメは?」と尋ね、その返答の通りに旅をするYouTube番組『YOUR RECOMMENDATIONS』が好評配信中。著書に『ピエール瀧の23区23時』(産業編集センター)、『屁で空中ウクライナ』(太田出版)など。『地面師たち』(Netflix)、映画『宝島』(大友啓史監督)映画『ホウセンカ』(木下麦監督)のほか、5月上演予定の舞台『はがきの王様』など多数出演。

電気グルーヴ公式ウェブサイト
https://www.denkigroove.com/