ファッション

皿洗いのバイト代で買った、50年間一緒のポロシャツ。

〈IZOD LACOSTE〉のポロシャツ/僕の好きなアメカジ

2026年5月25日

Made in U.S.A. catalog 2026


photo: Yoshio Kato
illustration: Yoshifumi Takeda
edit: Tamio Ogasawara, Ku Ishikawa
2026年6月 950号初出

「ポロシャツは’80年代の『ポパイ』読者の青年たちのマストアイテムだったんです」と八木沢さん。なによりも、50年間同じ服を大事に着てきた姿勢に魅力を感じる。

 1976年、ちょうど『ポパイ』が創刊された年くらいに〈アイゾッド ラコステ〉を手に入れました。前年、『Made in U.S.A. catalog』が出版されて、洋服やスニーカーだけでなくナイフから工具、カヌーまで衣食住のアメリカのライフスタイルが詳しく魅力的に紹介されていました。『ポパイ』創刊で、更にアメリカへの憧れが高まりました。

 御茶ノ水の中央大学の学食で皿洗いをしたバイト代を握りしめて、上野・アメ横の『ミウラ&サンズ』(現在の『シップス』)か『ルーフ』のどちらかで買ったと思います。〈ラコステ〉はライセンスものと、フランス直輸入のものもありましたが、アメリカの〈アイゾッド ラコステ〉が欲しかったのです。アメリカライセンスのもので、古着屋さんでも見かけると思います。シンプルなデザインですが、深めのサイドスリットに、後ろの着丈が長くなっているロングテイル。ワニの色も通常のグリーンですが、ボディカラーによっては青いワニがついているのも特徴です。コットン100%で通気性のよい鹿の子織り素材が定番です。洗濯すると縮み、襟も多少はヨレた感じになります。それでもアメリカものだと贔屓目に見てしまって「これも味なんだよなぁ」と好意的にとらえてしまいます。

 1970年代後半に『原宿キャシディ』(『ミドリヤ』)に入社しますが、〈アイゾッド ラコステ〉は大人気でした。ポロシャツは、ほかに〈フィラ〉〈セルジオ・タッキーニ〉〈ポロ ラルフ ローレン〉〈マルボロ〉〈フレンチ ラコステ〉などなど……。なかでも〈アイゾッド ラコステ〉は6800円で、カラーバリエーションも豊富。お手頃プライスの親しみやすいアメカジアイテムでした。

 ’80年代には『プレッピー・ハンドブック』(日本版)が出版され、プレップカラーと呼ばれるピンク、イエロー、ケリーグリーンなどの色を〈アイゾッド ラコステ〉は揃えていて人気は更に加速しました。プレップなスタイル以外にもヘビーデューティ、テニスボーイ、サーファー、ミリタリー、ウェスタンというように細分化されていきますが、〈アイゾッド ラコステ〉は、スタイルに組み込みやすいアイテムです。

 50年前の〈アイゾッド ラコステ〉、今でもときどき着ています。ネイビーは色褪せて、よい感じになっていると自分では気に入っています。家族には「えーまだ着るのー」と言われますが、ヴィンテージジーンズのような味わいを感じています。脇の下のホツレも何とか補強してます。

 これを着ると、1970年代のアメカジと、その頃よく聴いていたロギンス&メッシーナの「ママはダンスを踊らない」の曲が流れてくるようです。今年70歳になりますが、〈アイゾッドラコステ〉と一緒に年をとっています。

プロフィール

皿洗いのバイト代で買った、50年間一緒のポロシャツ。

八木沢博幸

元『原宿CASSIDY』 スタッフ

やぎさわ・ひろゆき|1956年生まれ。1981年よりセレクトショップ『原宿CASSIDY』(2026年1月に閉店)で販売員・仕入れ担当を務めた。