ファッション

服のお手入れ、基本の10か条。

2022年3月24日

photo: Naoto Date, Aaron Wynia (Toronto)
illustration: Hiroaki Seto
coordination: Aki Takabatake (Toronto)
text: Shintaro Kawabe
2022年4月 900号初出

①3種の洗剤を常備する。

一家にこの3つがあれば、日常の大体の汚れは落ちる。その理由に、中性洗剤は台所にある食器用洗剤と同じく、油を落とし、洗濯用洗剤は弱アルカリ性の成分が衣類汚れのほとんどである酸性の汚れを洗浄する。頑固な皮脂や泥汚れには、固形石鹸が最適。使う洗剤の量は入れすぎると色落ちや生地が傷むので、目盛りどおりに使うことも覚えておこう。

②ウールは家で洗わない。

なんでも家で洗うぜ! というハードコアスタイルに憧れる。しかし、ニットに関してはいつまでもフワフワで着ていたいなら自宅で洗わないのが得策。ウール繊維は水に通すと毛羽立って繊維が絡まり、ゴワゴワになってしまう。着たらすぐにクローゼットに仕舞わず、汗の湿気を取るために干して乾かし、表面のホコリなどを払うためにブラッシングすれば綺麗に保てる。けど、着用頻度が高いものはクリーニング店に出そう。

③原因不明の汚れを落とすなら優しい順に。

Step 1/中性洗剤
日常の汚れは表面に油、繊維に水溶性の汚れがついた可能性が高い。まずは対油に強い中性洗剤で表面の汚れを落とす。水と混ぜた洗剤をブラシに付け、トントンと叩いて溶液を浸透。少し時間を置き、繊維の中にある水溶性の汚れは水で洗浄。

Step 2/洗濯洗剤
STEP1で落ちないということは、酸性の汚れの可能性があるので、中性洗剤よりも少し強いアタックといった弱アルカリ性の洗濯洗剤が出番。同じく水に溶かした洗剤をブラシに含ませ、トントンと生地を叩き、少したったら水で洗い流してみよう。

Step 3/漂白剤or固形石鹸
最終手段が、刺激の強いワイドハイターなどの酸素系の漂白剤や、エネロクリーンといった固形石鹸。漂白剤は汚れに直接原液を付けブラシで生地を叩く。一方石鹸は、ブラシに直接塗布し汚れに浸透させて、水で洗い流す。生地が傷むので慎重に。

④濃淡で洗い分ける。

洗濯で「まじか!」と思わず声を上げてしまうのが衣類の色移り。それを防ぐためにも黒や赤などの濃色、白やグレーの淡色といった具合に、色が濃いものと薄いものは分けて洗おう。特に、柄や色彩が明るい洋服は、中性洗剤で。色落ちを防いでくれるから綺麗な配色や色合いをそのままキープできる。ちなみに一度色移りしたら色を戻すことはできない。

⑤服の硬さで洗い分ける。

洗濯機から出した柔らか~い生地の洋服がキズだらけになっていたら、これまた超ショック。洗濯機のパワーは僕らが思っている以上に強いので、ファスナーのような硬い部品が付いている洋服とコットンセーターのように柔らかい服を一緒に洗ってはいけない。ボタンだって破損することもあるから、裏返したり、洗濯ネットに入れたほうが安心安全だ。

⑥シワシワのTシャツは、シャワーの蒸気でのばす。

シワシワのTシャツほど不恰好なものはない。その日着るTシャツは朝、シャワーを浴びるとき一緒に浴室へ。蒸気でシワが綺麗にのびるのだ。消臭効果もあるので、スーツやニットなどの洗えない服にも効き目十分。

⑦毛玉はダイソーの毛玉カッターで。

毛玉ができたら指でむしるなんて、けしからん。取るなら、渡辺さんが店に並ぶニットにも使っている『ダイソー』の「くるくる毛玉取り」。生地を軽くなでるだけで簡単に毛玉が取れる。毛玉取りは色々試した結果、これにたどり着いたそう。¥110(DAISO https://www.daiso-sangyo.co.jp)

⑧ダウンを自力で洗いたい!テニスボールと一緒に乾燥機へ。

古着屋さんはダウンを自分たちで洗っていると聞いて驚き。まずはダウン用の洗剤を使ってコインランドリーの洗濯機で洗濯。そしてドラム式の乾燥機にテニスボール4、5個と一緒に投入。ボールがダウンに当たることにより、羽毛に空気が入り込みふっくら仕上がる。

⑨除湿機&扇風機で部屋干し。

洗濯物は晴れた日に外に干すのがいいというのは、間違い。衣類に紫外線が当たると生地が傷み、色が落ちることも。設備が整っていれば浴室乾燥、または除湿機と扇風機で風を循環させながら部屋干しするのが吉。

⑩保管は不織布カバーで。

衣類にとって湿気は大敵。ポリカバーが掛かったクリーニング戻りのスーツは、湿気がこもらないようにすぐにカバーを外して収納しよう。ほこりがつかないカバーを使用するならば、通気性のいい不織布のカバーがいい。

教えてくれた人

渡辺将喜さん

古着店『MWC』店主。実家はクリーニング店『クリーニングテイト』。自身も洗濯の修業をしてきたので洋服の手入れに詳しく、店に並ぶ古着はいつも綺麗。