FASHION

僕の知らないボタンダウンの話。《後編》

City Boy's Essentials

2021.05.22(Sat)

illustration: Mr. Slowboy
photo: Hirokazu Kobayashi
text: Tamio Ogasawara
2020年10月 882号初出

 前編ではボタンダウン草創期の日本の話をしたが、一方で、ボタンダウンの本場、アメリカの話も少々。始まりは、ポロ競技用にデザインされたシャツで、風などで襟がめくれて競技の邪魔にならないようにとボタンで留められていたのを、〈ブルックス ブラザーズ〉の創業者の孫である、ジョン・E・ブルックスが、その襟に惹かれ、ファッションの世界に持ち込み、ポロカラーと名付けたのは、あまりにも有名な話だ。そんなシャツを幼い頃から着ていて、自分で作るようになってからもずっと着続けているのがデザイナーのトム・ブラウン。

「母は私たち兄弟にネイビーのジャケット、ホワイトのオックスフォードシャツ、レップストライプのネクタイ、そして季節によってグレーのフランネルかカーキ地のパンツを着せていました。その頃からずっと変わらず同じスタイルで今まで過ごしています。いつでもタックインして、いつも洗濯されていて、乾かされていて、絶対にアイロンは掛かっていません。私は今も毎日着ています。アメリカ人にとって、ボタンダウンはエフォートレスでタイムレスなもの。他にもシャツはありますが、ボタンダウンに限ってはファッションではないのです」

 文化にどっしり根付いたものと、もたらされたものの差はあれど、好きという気持ちに変わりはない。こんなに愛されているシャツって他にあるか? これがボタンダウンだ。

インフォメーション

〈トム ブラウン〉のオックスフォードのボタンダウンといえば、現代のニュークラシック。トムは襟のボタンは留めずに着る。その着方が好きみたい。¥40,000(トム ブラウン/トム ブラウン 青山☎03·5774·4668)

プロフィール

Thom Browne

〈THOM BROWNE〉  DESIGNER|1965年、アメリカ・ペンシルベニア州生まれ。2001年に〈トム ブラウン ニューヨーク〉を設立。2007年に〈ブラック フリース バイ ブルックス ブラザーズ〉を手掛け、2013年には南青山に旗艦店をオープン。

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