TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#3】齢二十七、ティーンエイジャーになりたい

執筆:工藤遥

2026年5月23日

『ハイスクール・ミュージカル』に憧れた幼き日の私は、高校生になったらこんな学園生活が待っていると信じていた。
時が経ち、想像していた形とは違えど俳優という、ある意味イースト高校(のセット)に近づけるかもしれない道を歩み始めていたから、人生とは分からないものだ。

今年27歳になる。未だティーンエイジャーになりたい。
歳を重ねるとともに好みも緩やかに変化してきたが、こればかりは変わる様子が無い。視点は変われど大好きなテーマだ。
 
 
 
ティーンエイジャー、身内の目が厳しい時間。学業に、門限に、デートに行くなんて言おうもんなら……
自由が欲しいとうんざりするのも、この時期ならでは。ダメって言われる程、反発したくなるそれ、今となっては羨ましい。
 
『ダッシュ&リリー』はクリスマスが大好きな少女リリーと、クリスマスに不貞腐れてるダッシュが一冊の本を通して、胸の高鳴りに耳を傾け始める物語。
 
やりとりは全て真っ赤なノートのみ。情報だけでなく、文字が持つぬくもりまで溢さぬように、そっと雪の上に足跡をつけるような2人がたまらなく愛おしい。
 
ティーンエイジャーは毎日がお祭り騒ぎ。大人からしたら些細なことでも彼女達には大事件だ。
こういうドタバタ劇は体調に左右されず気軽に見れるのでとてもありがたい。
 
 
 
 
しっかり腰を据えて見たいときは『ハーフ・オブ・イット 面白いのはこれから』を見る。ティーンエイジャーが活躍するラブロマンスの中でも、静かで確かな強さが魅力の1本。
 
 
レポート代筆で小遣い稼ぎをする女子高生エリーは、アメフト部のポールに頼まれ、美人で人気者のアスターへ、ラブレターを代筆する。エリーは彼女への想いを飲み込んで……
 
一見、普通の三角関係に見えるが、どちらかが付き合うとかそういう話ではない。この場所が、人間関係だけが、手に取れる、見えるだけが世界の全てじゃない。半分を埋めるのが愛だとは限らないと、柔らかな温かさを描いている。
 
悩んで、躓いて、立ち上がって……たとえ何度同じことになろうと止まらない彼女たちを、今こそ見習わなくてはならない。背中を押してくれる1本。
 
 
 
何度も観たい1本『HEART STOPPER』
自身のセクシュアリティを理解しているが、まだ壁は高いと感じている少年チャーリーは、人気の男子生徒であり友人のニックに密かな想いを抱いている。友達同士の彼らがお互いへの想いに戸惑い、セクシュアリティに壁にぶつかり、人間関係に悩んだりと自分の心に向き合い紐解いてゆく。
 
色濃く漂うのに目には見えないヒエラルキー、違いを個性と受け止めるにはまだ未熟で、世界の広さを知る術がない彼らが、ゆっくりと自分の足で答えに辿り着く姿を見たら、抱きしめたくなってしまう。
 
3シーズンかけて慎重に進むので、大変もどかしい。お願いだから幸せになって…なってくれなきゃ私が困る。
 
 
 
作品の温度は様々だとしても、ティーンエイジャーはいつだって無敵。きらきらパウダーが肉眼で見える程に。どれだけ歳を重ねてもなりたいと焦がれる ティーンエイジャー達よ、幸あれ!

プロフィール

工藤遥

くどう・はるか|俳優。1999年10月27日生まれ。埼玉県出身。
2018年より俳優活動を本格的にスタート。特撮ドラマ『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』にてルパンイエロー役を務め、注目を集める。2020年には映画『のぼる小寺さん』で映画初主演を飾り、その後もMBS『ロマンス暴風域』日本テレビ『若草物語』TBS『御上先生』NHK『3000万』映画『この夏の星を見る』など、多様なジャンルの話題作に出演。
趣味は、ドラマ・映画鑑賞。自他共に認めるMARVELオタク。

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